音楽がいくらあっても足りない。

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liaisons.jpg ジャケットだけ見るとレアなヴィジュアル系バンドのアルバムかなんかと一瞬勘違いしそうですけれど、これは元DAFのクリス・ハース他のユニット「リエゾン・ダンジュルース」の81年発表の唯一のアルバムです。

 基本ベイスは(2人組になってからの)DAF風な、シンプルで、シーケンスフレーズのリピートで、語り調ヴォーカルだけど、ドラムはシンセで鳴らしているのでDAF程パワフル感はなく、その代わりDAFより変態。

 妙な所で変な声を発したり、ヒネクレたシンセ音を鳴らしたりとにかく変。このダンジュルースなヤバさはクセになります。

 ホアン・アトキンス等にリスペクトされ、デトロイト・テクノのルーツにもされている重要な一枚でもあります。

 9曲目なんか、宙に放り投げ出され、身動きが取れない様な浮遊感があります(めまいも少々)。

 8曲目では、ゲスト・ヴォーカルにDEVOでおなじみのブジー・ボーイが参加(嘘)。

 この人がいなければ今日のテクノは存在しなかったであろう最重要人物、コニー・プランクのプロデュース。

 このアルバムのCDが再発された頃、CDショップのオススメ書きに「既成の楽器は使用せず~」なんて、メカ野店長監修の「ジャーマン・エレクトロ・リミックス」と云う本で紹介されていた文をそのまんま写してあるのを何店舗か見かけましたが、アレ実はアーノー・ステファンのアルバムの事で、ミスプリントだったのにね…

 この前このユニットの当時のライブ映像を観たのですが、ヴォーカルがこのアルバムのレコジャケみたいな格好しているのかと思ったら、別に普通の格好でした。その代わり左胸に日本語で「どん兵衛」とプリントされたシャツを着ていたのが笑えましたが。

 >> DAF/「小者・悪者」
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  MORGAN FISHER/HYBRID KIDS VOL.1

mfisher.jpg 日本に住んでいた事もある元モット・ザ・フープルのキーボーディスト、モーガン・フィッシャーも、変わり者のオッサンだった時期があって、こんな変なアルバムを世に出していました。

 79年にリリースされたこのアルバムはロンドンの(当時の)彼のアパートで4トラックのテープレコーダーを使って作成されました。

 カヴァーソング集で、あるアーティストの曲を別のあるアーティスト風にアレンジするという方法を取っているのですが、これがかなりふざけてて、人の事をナメています。

 「さんまの恋のから騒ぎ」のオープニングでおなじみの、ケイト・ブッシュの「嵐が丘」なんかヘヴィーなダブに仕上げていて、そこまでだったらまだカッコ良かったのに、歌い方がふざけてて「嵐が丘」のカヴァーの中では一番最低の出来です(笑)。

 他にロッド・スチュワートの「アイム・セクシー」なんかレジデンツ風にアレンジしているのですが、これが本当にレジデンツだから笑えます。

 それはまさにTVのものまねショウで歌い出しを聴いて「うわぁ~似てる~」って思った瞬間と同じ感触です。

 あと面白いのが、誰のカヴァーかちょっと判らないのですが、それをDEVO風にアレンジした曲(しかもヴォーカルのマネがマークじゃなくてジェリイって所がイイ!)です。この曲の間奏で現れる、ヨーデルがピッチチェンジしていく声を聴いてゲラゲラ笑いました。

 スクイーズのカヴァーなんか、マイナー調な曲なのに間に観客の笑い声を挟むナンセンスさ。

 他にもセックス・ピストルズの「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」を、イギリスのこども番組風(日本だったら「帰ってきたヨッパライ」風かな?)にしているのがあったり。

 おそらく元ネタを多く知っていれば知っている程、このアルバムを楽しむ価値が上がるのでしょうが、3分の1位しか知らない自分でもかなり楽しめました。

 チープな録音方法なのにアイディアが豊富に詰め込まれていて確かな満足。

 とにかくふざけたアルバムです(笑)。

 アンタはコメディアンか!

 ホントはそんなにオススメでもなかったりして。

 ジャケットの絵は、フランシス・ベーコン。
   HOLGER HILLER/EIN BU¨NDEL FA¨ULNIS IN DER GRUBE

holger.jpg このアルバムがリリースされた80年代中頃は、当時まだ珍しかったサンプラーをアーティスト達がこぞって使いまくっていた時期でもありまして(まだまだ一般の人には手の届かない物でしたが)、それは丁度今で言う、エレクトロニカのプラグインみたいなものでちょっと使えばある程度面白い音が出来上がるため、そこで満足してしまって“誰がやっても同じ音”になってしまいがちでしたが(みんなアート・オヴ・ノイズみたいじゃんか…みたいな)、更に一歩踏み込んだ使い方をすればそのアーティストの個性が引き出される面白いツールでもありました(現在でもそうですが)。

 元パレ・シャンブルグのホルガー・ヒラーはまさにその一歩踏み込んだ使い方をこの1stでしていて、過激とクール、シリアスとユーモアのすき間をかいくぐる、彼だから出せる独特な音を提示しています。

 ただこのアルバムで彼はサンプラーにたよっているってわけでもなく、あくまで彼の音楽を表現するための1つのパーツとして使っている感じです。むしろサンプラーが前面に使われていくのは2nd以降になります。

 ドイツの一部のアーティスト達には、他の国には持っていない独特の脱力感があります。ホルガー・ヒラーもその辺が顕著で、このアルバムにはひょうし抜けとか、間抜けとか、気が抜けるとか“抜ける”が付くキーワードがよく似合います。収録曲の「あわないパンツ」の「ラ~ラララ~」と、かったるそうに歌う歌い方なんか聴いてると思わず笑ってしまします。アルバム全般で弾いているベースギターもどこか力の抜けた、スマートともちょっと違う何とも言えない感触があります。

 「ドゥ~ドゥ~ドゥ~ワァ~ア~」と、これまたかったるそうなコーラスの収録曲「ジョニー」は、シングルカットにもなったホルガー・ヒラーの代表曲です。

 因に初期「うる星やつら」の音楽などを担当した小林泉美は、ホルガー・ヒラーの(元?)奥さんです。
palais.jpg
 ザ・フライング・リザーズのデヴィッド・カニンガムを共同プロデュースに迎えたドイツのバンド「パレ・シャンブルグ」の81年発表のメジャーデビューアルバムです。ホルガー・ヒラー、トーマス・フェルマンらが在籍していました。

 音はスカスカ、演奏はギクシャク、シンセやホーンの発する音はなんだか外れてるし、ヴォーカルは感情的に叫んだり、変な声出したり…テンションが高く緊張感も漂うけれどベースは妙に冷めていたり(ベースをハジいている曲も1曲ありますが)。ただそれは黙々とスマートに弾いているっていうのではなく、やっぱりどこかぎこちなかったり。ファンクなのにノリが掴みずらかったり。

 普通こんなんだと小難しい音楽になるかただ珍しいだけになる所なのですが、このバンドがそうなっていないのはフライング・リザーズと一緒でポップを感じさせるからです。でもホルガー・ヒラーはポップな方向を目指すのが嫌で1stでこのバンドを脱退したと発言していますので、元々ポップなど目指していたわけではないのかもしれません。この辺はもしかしたらデヴィッド・カニンガムの力量なのかもしれません。その前に出したシングルとの違いからしてもそう思わせます。もっともホルガーはもっと受けのいい音楽という意味でそこでポップと言っているのでしょうが。そもそもポップって言葉、人によって感じ方や位置づけ、定義は微妙に違うと思うし。

 じゃあ自分にとってのポップは何なのか?と訊かれると…感覚では解っているのですが、言葉にすると…すいません考えておきます。単に聞き易い音楽ってわけでもないし。

 あ、あと思ったのが、エトロン・フー・ルルーブランの「大地に刻んだ溝」を聴いて、これって、演奏が巧みなパレ・シャンブルグの1stだなあって。音程感とかピッキングベースの感触とか妙なスカスカ具合とかが似ているなあと。ジャケットの赤と黒のコントラストの類似からくる先入観もあるのかもしれませんが。



>>Palais Schaumburg LIVE @ 代官山 UNIT(2012.07.07)



  THE FLYING LIZARDS/THE FLYING LIZARDS

flyinglzd.jpg 北アイルランド出身のデヴィッド・カニンガムが、数人のゲストを呼んでレコーディングした「ザ・フライング・リザーズ」の80年にリリースされた1stです。

 美術学校在学時、ダダ・アートに感銘を受けたというデヴィッドは、自らの音楽作品にその要素(失敗や脱線)を色濃く反映させています。

 段ボールをドラムにしたり、その辺にあったものをとりあえず鳴らしてみたり、ろくに弾けもしないギターやピアノを弾き、歌の上手くもない女性に抑揚のない歌を歌わせ、それらの音素材を手頃な録音機でとてもクリアーとは言えない音に収める。こうした「曲作りのプロセスに違った視点を置く(試みをする)」と言ったタイプの音楽はこれまで現代音楽などに多く見られました。ただそれらは聴いていて難解なものが多いのですが、フライング・リザーズがそれらと違うのは、ポップな音楽を目指して作っているため、確かに一見素人の下手な試し事の様に聞こえますが、逆にそれがとても聞き触りの良い馴染み易いサウンドになっています。

 ただいくら段ボールをドラムにしているからと言っても、アルバム全体でそれをやられると聴く側は多分飽きてくると思うのですが、ドラムやベース等に、しっかり演奏の出来るアーティストを招いて録音されているものもあって、それらをダブな音処理に施していたり、またこの1stはそれまでのシングル曲に、新録音を加えた寄せ集め的なアルバムになっているので、バラエティに富んでいて飽きさせません。

 しかし当時ヴァージン・レコードは、よくこんな世間的に見て「商品としての完成度の低い」と思わせる様なアルバム(本当はそんな事ないですよ)をリリースさせたなぁって思ったんですけれど、それなりにヒットしているんですよね。目の付けどころが違うというか、感心させられます。これが(当時の)ヴァージンからリリースされたって云う所も大きいのではないのでしょうか。そう言えばヴァージン・レコードの第1号アルバムは、多重録音で手作り感のある作品、マイク・オールドフィールドの「チューブラー・ベルズ」(映画「エクソシスト」で使われているのでおなじみ)でしたよね。

 ロバート・フリップ、マイケル・ナイマン等がゲストの2ndもオススメ。

 レコード針がスタートラインに位置した途端、いきなりのフライング。(←コレちょっと言ってみたかっただけ)
  AKSAK MABOUL/ONZE DANSES POUR COMBATTRE LA MIGRAINE.

aksakmaboul.jpg 最重要盤!

 ベルギー在住のマルク・オランデル(key,他)とヴィンセント・ケニス(g,b,他)が中心と成るアクサク・マブールの77年制作の1st。ジャズ、室内音楽、民族音楽、ミニマル、童謡等、あらゆる音楽の要素が盛り込まれる中、全体的に一貫してこのアルバムに受ける印象は“心地よさ”です。

 それは色んな所からジャンルをただ借用してきただけのバラエティアルバムというわけではなく、かと言って実験色の濃い、重々しいアルバムになっているというわけでもなく、それらをアクサク・マブールの中で1度消化させ、目の付け所の盲点を突いた様な面白いサウンドになっています。

 後にクラムド・ディスクを建ち上げ、“ワールド・ミュージック”と言う一つのジャンルの確立に貢献した人物の一人でもあるマルクの雑食性がここで既に伺えます。しかしここではワールド・ミュージックと言うよりは今で言う“ラウンジ”に近い趣があります。

 この後、フレッド・フリスやクリス・カトラー等ゲストが多数参加し、よりバンド色が強くなりこれとは趣が異なる2ndもとてもオススメです。

 尚、アルバムタイトルが「11の~」なのにCD化により曲数が17曲に増えていますが、これは単に曲を分割しただけで中身はアナログ盤と一緒です。
hajimesun1.jpg元プラスチックスのギター担当で、グラフィックアーティストでもある立花ハジメの通算4枚目のソロアルバム。

1st~2ndではサックスやクラリネット等を使ったアコースティックギコチナ系、3rdではサンプリングを大幅に導入したアート・オヴ・ノイズ風とそれぞれ面白い作品を残してきましたが、この4thでもまた面白い作品を作り出しました。

立花ハジメ、藤井丈司、飯尾芳文の3人が中心となって作り上げたこのアルバムは、音数が割と少なくシンプルなテクノポップ。こう書くとチープな印象を受けてしまうかもしれませんが、音数が少ない分ドラムの音空間処理に躍動感を与えパワフルさを醸し出しています。こう書くと今度はDAFをイメージするかも知れませんが、DAFよりむしろ他のノイエ・ドイチェ・ヴェレの一連のアーティスト(デア・プラン、パレ・シャンブルグ等)の持つヘンテコリンな感性の方に近いです。

音楽活動には留まらない彼の、アート作品でもあるオブジェ的な創作楽器はここでもフィーチャリングされています。

音数が割と少ないと言っても収録曲の中には「XP41」の様な、様々な音のパーツが楽曲の中で飛び交い、それらがメロディアスに交差するとてもアンサンブル感の気持ちいい曲も存在します。hajimesun3.jpg

しかしやっぱりこのアルバムで一番の目玉曲は「ChickenConsomme」です。チープなのにパワフルなシンセブラスと、打ち込みなのにパワフルなドラムスと、創作楽器だけで7分強駆け抜けるこの曲は、シンプルに物足りなさを感じさせず、ロングタイムにも飽きさせなくとても面白カッコイイです。是非オタメシあれ。
realfish1.jpg 矢口博康(sax)率いるインスト・ポップ・バンド(6人編成)の85年発表の2ndです。
ここのメンバーは皆から音楽知識の豊富さ、いわゆる“学”を感じさせるのですが、それが決してひけらかしや器用貧乏などにはなっていなく、むしろその“学”を有効活用している感じに聞こえてきます。

リアル・フィッシュを聴くと、面白い/楽しい/愉快な/可愛らしい/と言った言葉がイメージとして浮かんできます。

アルバムはオリジナルとして3枚リリースされていまして、全てオススメですが、1stはメンバーそれぞれのアイディアが豊富に盛り込まれた寄せ集め的なものだったのに対し(それはそれで“おもちゃ箱”っぽくていいのですが)この2ndはアルバムとして非常にまとまった作品になっています。又3rdになるとメンバーが2人脱退し、戸田誠司(key,g)と福原まり(pf,key)の色が濃くなっているので、メンバーの個性感のバランスから言っても2ndが1番まとまっていると思えるので、敢えて1枚を取り上げるならやはりコレかなと。

昔、高橋由美子、森脇健児のラブコメディー「おねがいダーリン」というドラマで確か矢口博康が音楽を担当していたと思うのですが、そこでよくこのリアル・フィッシュの曲を使っていました。

同じ時期、ほとんど同じメンバーで「Shi-Shonen」というヴォーカル・バンドも平行して活動していました。

因に戸田誠司は、この後にYOUと「フェア・チャイルド」というバンドもやっていました。

もう1つ因に。リアル・フィッシュの3rdでは、当時としては珍しく桑田佳祐がラッパーとして参加しています。

>>好きな曲ベスト5(8)~Real Fish
  APHEX TWIN/RICHARD D.JAMES ALBUM

aphex2.jpg ジャケットはうさんくさいオヤジの怪しい笑み(これと、DAFの3rdのアナログ盤は、買うのに勇気がいる)ですが、内容はやんちゃなガキのいたずら風テクノと言った面白愉快なサウンドです。

 当時主流だったドラムンベースをここではふんだんに取り入れているのですが、それはまるでリチャード・D・ジェイムスという“こども”が、ドラムンベースという“おもちゃ”を取り扱い説明書などに目を通さず勝手に自己流で遊んでしまっているかの様です。要するにドラムンベースも彼が扱うとただのドラムンベースじゃなくなるって事です。

 こどもは無邪気さを感じさせる反面、それが故に残酷な面も実は持っているんだと言わんばかりの、乱暴振りなサウンドも見受けられます。そして全般的に溶け込んでいるストリングスがどこか切なさをも感じさせるのですが、なんでしょう、ワルガキも、その実さみしがりやなんだとでも言っているのでしょうか?

 面白く、可愛く、変で、過激で、そしてどこか哀愁の漂うテクノ。
telexlooneytunes.jpg昨日に引き続き今日も可愛らしい音楽路線を。

 テレックス(TELEX)はベルギーの3人組、ジャズミュージシャンとして既にキャリアのあるマルク・ムーラン(key、作、編曲)と、建築家、写真家、グラフィックデザイナーでもあるミッシェル・モース(Vo、ヴォコーダー)そして、ベルギーで初めてシンセサイザーを購入したと言われるリーダー、ダン・ラックスマン(syn、prog、エンジニア)が78年に結成したテクノ・ポップ・ユニットです。

 ここでオススメするアルバムは88年にリリースされたもので、80年代中期、アート・オヴ・ノイズ(今の時代の人に判り易く説明すると、マリックの登場曲のやつね)の登場により、その面白い使い方からサンプラーという楽器がより多くの人に知れ渡る様になりました。テレックスもこのアルバムでは大幅にサンプリングを導入しているのですが、アート・オヴ・ノイズとはまた違った趣で、人や動物の“声”を多くサンプリングネタに使いとてもファニーで人懐っこいものに仕上げています。

 彼らの音楽はとてもポップでメロディアスなのが特徴の1つなのですが、このアルバムではいつもより比較的メロディーが控えめになっています。なのにメロディアスな印象をここでも受けるのですが、それは人懐っこいサンプリングの使い方に、ちょっとしたメロディーを楽曲の要所に付け加えるバランス感覚の絶妙さによるものです。収録曲の「PEANUTS」は全体的に人の声をパーカッションの様に使っている曲なのですが、キングスレイ(エレクトリカルパレードの曲の人)の「ポップコーン」風の、ピコピコしたメロディーが要所でさらっと入ってくる所なんてまさにそうです。

 アルバムタイトルの「Looney Tunes」は、ちょっとズレた音楽みたいな意味も込めているのでしょうけれど、アメリカのアニメーションのタイトルから引用は明らかです。実際あのアニメのドタバタで痛快な面白感が、このアルバムにも有ります。

 元祖冗談音楽家スパイク・ジョーンズ(映画監督じゃない方)へのオマージュ曲「SPIKE JONES 」なんて曲も有ったりします。

 彼らはシンセサイザーの気持ちいい音の響かせ方をよく知っている人達だと思うのですが、それが決してマニアックさとか、趣味っぽさをひけらかしている風にはみえないんです。それはシンセサイザーだけでなく、ポップソングそのものに対しても愛情を注いでいるのがひしひしと伝わってくるからです。要するに、シンセサイザーをいじるのが楽しくていじっていったらこんな曲が出来ました…というよりかは、ポップソングを創る時、このシンセはどんな音を奏でられるだろう…もしくはこのシンセを使うとどんなポップソングが生まれるだろう…といった所が出発点みたいな。
そういう所から考えると本当の意味でのテクノ“ポップ”というのは、クラフトワークでも、YMOでもなく、テレックスの音楽の事を言うのかもしれません。

>>好きなレコジャケ
  PYROLATOR/PYROLATOR'S WUNDERLAND

pyrolator.jpg 元DAF、そしてドイツのレジデンツとも言われているヘンテコ・アート集団、デア・プランのメンバーでもあるピロレーターの、84年にリリースされた通算3枚目のソロアルバムです。

 1stはアナログシンセサイザーを使ったノイジーな実験音楽、2ndはデア・プランにも似たヘンテコ・テクノポップ路線…と続きましたが、このアルバムでは動物の鳴き声や、日常生活の音などを当時普及し始めたサンプラーを使って、とても可愛らしく作品を作り上げています。
 又、デジタルシンセサイザーのDX-7がもてはやされた当時、ほとんどのミュージシャンはそれをブラスやストリングスなど既成楽器の代用的な使い方をしていた(生演奏の代わりとしてではなく、パートとして)のに対し、彼はここでそれを“シンセサイザー”としてこの楽器の持つ特徴を生かす使い方をしていました(ハイのきらびやかさなどを可愛らしくみせたり)。

 とにかくこのアルバムは全体的に曲が可愛らしく馴染み易さがあるのですが、どこかインチキくささも漂います。こどもが聞いても騙されないぞーみたいな。(まあ、デア・プランの人ですからね)もしかしたらこれはこどものための音楽というよりは、どちらかというと大人達の持っているこども心を呼び起こすために作られた大人のための音楽なのかもしれません。
…って言うか、まあ別に聴く対象を限定して作ったわけではないのかもしれませんが。

 エキゾティック・ミュージックの重鎮、マーティン・デニーのオマージュとして、彼の曲をサンプリングに取り入れたジャングルムード満載の曲もあります。


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  FRED FRITH/GRAVITY

frdfrthgrvty.jpg ヘンリー・カウや、ギター・ソロ・インプロヴィゼイション等、それまで難解な作品がとりわけ多かったフレッド・フリス(g,vln他)が、 79年頃から 活動をニューヨークに移し活発に幅を広げていった時期にレジデンツのラルフ・レーベルからリリースした通称“ラルフ3部作”の1枚目です(80年発表)。

 彼の作品の中ではとりわけ聴き易いサウンドに仕上がっていますので、入門編とも言えるアルバムです。
3曲目や5曲目なんかは彼の代表曲で、彼に焦点を当てたドキュメントフィルム「ステップ・アクロス・ザ・ボーダー」でも彼が口ずさんでいます。(←こちらのサントラも彼の入門編としてオススメ)

 A面ではスウェーデンのサムラ・マンマス・マンナ、B面ではアメリカのザ・マフィンズがゲスト参加して、2部構成的な作りが特徴です。
A面からは北欧等の民族音楽テイストも漂います。
B面に収録のカヴァー曲「ダンシング・イン・ザ・ストリート」は、DEVOの「E-Z Listening Disc」、もしくはHUMAN CHAINの「MY GIRL」風なヘンテコ・アレンジに成っています。フリスの、ユーモアとポップのセンスが光った作品です。

 アナログのレコード盤にはA面、B面と裏表があるため、途中で一度ひっくり返す手間がありますが、それが作品の世界に浸っている途中で一度現実に引き戻されてしまう事にもなってしまいます。しかし言い換えればA面を聴き終えた後、前半の余韻に一度浸りながら裏に返し、改めてB面の世界に入り込めるというブレイク的な要素もあるので一概にこの記録媒体の良し悪しは判断出来ないと思います。ここでオススメするアルバムは、その後者を上手く生かした作品であるため、CDではなく、レコード盤で聴く事ををオススメしたいです。

>>MASSACRE/KILLING TIME

>>MATERIAL/MEMORY SERVES
  MATERIAL/MEMORY SERVES

material1.jpg ニューヨークを拠点に活動する名プロデューサー、ビル・ラズウェル(b)や、今やレッチリ、KORN、マリリン・マンソン等のプロデュースとしても知られるマイケル・ベインホーン(key,vo)、スクリッティ・ポリッティやルー・リード等でドラムを勤めるフレッド・マー(ds)を中心に多才なゲストが入り交じるバンド・プロジェクト、マテリアルの81年にリリースされた通算4枚目のアルバムです。

 アルバム毎にゲストが大きく入れ代わる事で内容も大幅に変るので、アルバムによって当たり、外れが大きく、自分が聴いた事の有るアルバムの中ではこれが一番オススメです。

material2.jpg ゲストはフレッド・フリス(g)、ソニー・シャーロック(g)、ビ リー・バン(vln)、ジョージ・ルイス(tb)他であり、全体的にドクター・ナーヴの1st~2ndの様な変態ファンクを彷佛させる所が有ります。

 フレッド・フリス参加の4曲目は時期的に重なっていたせいもあるのかマサカーの様なロックの可能性を追求した曲調も見受けられます。ビル・ラズウェルのベース・プレイは、マサカーで見せていたグルーヴ感にファンク色が強まり、こう言うベースも弾けるのかとプロデューサーだけでなく、プレイヤーとしても改めて魅力を感じる事が出来ます。
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 1st、2nd辺りは、まだ模索段階という印象があってか、マイケル・ベインホーンのキーボード(シンセ音)が今一つ効果的じゃ無くぎこちなく聞こえました。しかしこのアルバムでは下手にシンセ音を加え過ぎなくバンドにうまく溶け込んでいます。
  MASSACRE/KILLING TIME

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最重要盤!


 マサカーを聴くと、対になるキーワードがいくつか浮かんできます。
構築と崩壊、 既成と 即興 、 緊張と余裕、拘束と自由…
これら2つのキーワードは、各々対極したものばかりですが、そのどちらにも当てはまり、その中間でも無ければ、どちらか一方でもありません。

 マサカーは、元ヘンリー・カウ他のフレッド・フリス(g)、マテリアル他のビル・ラズウェル(b)、スクリッティ・ポリッティ他のフレッド・マー(ds)の3人から成り、ここでオススメするアルバムは、81年にリリースした1stです。

massacre2.jpg  “スリーピースのロック・バンド”と聞くと、ある程度の音楽を聴いている人なら、聴く前に大体のイメージが浮かんでくると思います。
ぜい肉を削ぎ落とした、ストレートな、パワフルで、躍動感のある・・・マサカーはロックバンドとも言えるのでそういった言葉は確かにあてはまるのですが、それだけならば、普通そこに制限と限界を感じてしまう筈。しかし彼らの放つ音には、その制限をも上手く利用し、限界を超えた、既成イメージだけでは予測不可能な、ロックの新しい可能性を見い出しています。ロックは元々そういう自由な音楽だと言う事を改めて感じさせてくれます。

massacre5.jpg マサカーは、“この3人”というのも実は重要です。98年からドラムスが元ディス・ヒートのチャールズ・ヘイワードに代わり2ndやライブ盤をリリースしているのですが、それには何か物足りなさを感じてしまいます。チャールズ・ヘイワードのドラムは、滑らかなストロークがとても気持ち良くて個人的にはフレッド・マーより大好きなのですが、1stにはフリス、ラズウェルと言う“ 熟知”に、マーと言う“未知”(当時18才!)が内在しているのに対し(ここにも対になるキーワードが)、2nd以降には未知というキーワードが存在しないため、完成度は高いのですがそれ以上のものが見えてきません。だからと言ってもしマーがここでドラムを演ったとしても、今や彼も熟知に値するわけだから、1stの様には望めないと思います。これらを踏まえると、アルバム「キリング・タイム」はその時代の彼らだからこそ出来たアルバムだったとも言えるかもしれません。偶然が生んだ必然…あ、ここにも対になるキーワードが。

>>MASSACREの「KILLINGTIME」のリマスター盤を購入して
  HIM/SWORN EYES

HIM2.jpg 音響系ジャズでこれはオススメしておかなければならないものがもう1枚。

 HIMはダグ・シャーリン(ds)を中心とするユニットで、(先日サマソニで来日した北欧のロックバンドのHIMとは別物)99年発表のこのアルバムではTORTOISE周辺のシカゴ勢(バンディ・K・ブラウン、ロバート・マズレク、ジェフ・パーカー)が参加する事により、元々ダブの影響が強いロックだった所からジャズ色が強まり浮遊感漂う空間性に満ちた作品に仕上がっています。特にロバートのコルネットが効果的です。

 とにかくこのアルバムは気持ちが良いです。それは各々の演奏のアンサンブルの響きからくるものもあるのですがそれだけではなく、エフェクト音の飛び交う空間からにも感じてきます。3曲目なんか控えめな演奏の上、同じフレーズをただひたすら繰り返すだけなのにこれがまた気持ちいいんです。ダブで習得したのか、リバーブの深さ加減といい、シンセもしくは何かをエフェクト加工した音の音色といい、それはまるで浅い眠りのぼんやりした感覚に近いものがあります。アイソトープ217°の1stの持つ浮遊感やタイド・アンド・ティックルド・トリオの持つクールさとはまた違った感覚がここにあります。

 このアルバムリリース後のライヴを自分は観に行きましたが、生演奏でこのアルバムの曲を表現するのには無理が有るなと感じました。あとその時初めてダグを見たのですが、格闘家のマイク・ベルナルドかと思いました(笑)。
  TIED+TIDCKLED TRIO/EA1 EA2

ttrio.jpg ドイツの音響ジャズ・グループ。名前はトリオだけど、メンバーは7人編成。
 
 クールなジャズに電子音が程良く絡む渋いアルバム(2000年リリース)。

 ベースの弦をはじく音や、サックスの息づかいの音がリアルに聞こえ、なのに別にクリヤーな音質というわけではなく、古くささを感じさせる音の質感がまたシブイ。

 メンバーのユハネス・エンダース(sax,pf)は、ドイツでは名の知れたジャズ・ミュージシャンらしいのですが、そう言った腕の立つミュージシャンがこう云う違ったジャズのアプローチに積極的に参加する事が最近増えてきているのでリスナーとしてはとても喜ばしい限りです。ただ流行り的に音を取り入れているだけのジャズミュージシャンも中にはいますが…

 他にもドラムループを用いたり、ダブ的音処理を施したり、色々志していて面白い。

>>tied & tickled trio/ea1 ea2 rmx
  ISPTOPE 217°/THE UNSTABLE MOLECULE

isotope21.jpg TORTOISEのダン・ビットニー(ds,perc他)、ジョン・ヘーンドン(ds,perc他)、ジェフ・パーカー(g)、シカゴ・アンダーグランド・オーケストラのロバート・マズレク(cor)、サラ・P・スミス(tb)、トランクイリティ・ベースのマシュウ・ラックス(b)から成る音響派ジャズ・グループの1st。

 TORTOISEをもっとジャズよりにした感じ、と言えばある程度伝わるでしょうか。音作りのプロセスでは、TORTOISEとほぼ同じで、各人の演奏は素材の一部にしか過ぎずそれをケーシー・ライスと、バンディ・K・ブラウンの2人の(ここでは)サウンド・エンジニアが手を施し、空間性に満ちた作品に仕上がっています。

 リズム隊が時にはファンクさを醸し出す事はありますが、全体的に音はクールな印象を受けます。サラとロブの奏でるホーンが、浮遊感を漂わせてとても気持ち良いです。ジェフのギターは時折不安定な音色を奏でる事があるのですが、その不安定具合がセンス良くて個人的には好きです。そこら辺はマーク・リーボゥを彷佛とさせる所があります。

 メンバーのダブりもあってか、どうもTORTOISEのサイド・ワーク的な印象を受けがちですが、そう思われるにはもったいない位とてもよく出来たアルバムです。実際クラブ界でもこのアルバムは一時期評価が高かったそうです。

 2ndになると躍動感あふれ、プレイヤーとしての気質が目立ち始めてきますが、3rdになると2ndの反省があったのかどうかは知りませんが、今度は逆に極端に素材の生演奏が見えてこない位に編集しまくっています。自分はは2nd、3rdもそれはそれで好きですが、“プレイ”と“エディット”がバランスよく溶け合っている1stを、ここではオススメします。
サマーソニック05行ってきました。お目当ては勿論、ナイン・インチ・ネイルズです。
本当ならマッド・カプセル・マーケッツ辺りから観るつもりだったのですが、なんだかんだで家を出るのが遅くなってしまい結局現地に着いたのが夕方5時過ぎになってしまいました(泣)

とりあえずはじめに幕張メッセの中を物色する事にしました。
一昨年も来たけれど、このイベントはロックフェスティバルを超えてもはやアミューズメントパークと化してますね。運営もしっかりしているし。
出店ブースの中にはアロマテラピー、フットバス、中国整体、メディカルマッサージ、メイク、ネイルアート、タトゥーシーリング、バーバーなんかもあり、またNBA協賛のバスケイベントスペースもありました。あとお笑いステージもね。

多国籍なフード屋台もあいかわらず本格的で、どれを食べようか迷ってしまいます。でも結局自分はオーソドックスにデミオムライスとカレーライスを食べましたが(あ、いっぺんに両方は食べてませんから、念のため)。

千葉マリンスタジアムに移動をしましたが、既にスリップ・ノットが始まっていました。
自分にとってスリップ・ノットはちょっとキツかった…みんな同じ曲に聞こえて…(苦笑)あれだけ色々な楽器(ガラクタ?)を使っている割には効果的じゃないって言うか…
こども連れがいたけれど、こんな音楽こどもに聴かせて大丈夫か?なんて心配もしたりして。でもあんな怖いお面かぶったバンド見てよく泣かなかったな。

自転車ロードレースファンの実況でもおなじみのSaschaが司会をやっていました。自転車ロードレースファンの自分としては彼がナイン・インチ・ネイルズを紹介するのはなんか嬉しかったな。

さてナイン・インチ・ネイルズですが、なるだけ中央前方で観れるように移動し、もう5年振りの来日と云うそれだけで気持ちが高ぶってきて、オープニングの「Pinion」から「Wish」に繋がった瞬間、もみくちゃにされながらも絶叫して、跳び回って、もう狂いまくりました。

トレント・レズナーが坊主でした…って言うか、彼来日してすぐに秋葉原に出没していて、その写真をウェブで見たので知ってはいましたが。

ギターのアーロンの暴れっぷりは凄まじかった。トレントが気に入っただけはあるな。

トレントがギターを弾く機会が前回よりも多くなった様な気が。ジョーディー(トゥイギー)がベースに専念しているからかな。

前回の来日の時には聴けなかった「Burn」を演ってくれたのには大好きな曲なので嬉しかったけれど、なんかWOODSTOCK'94のヴァージョンに比べて勢いに物足りなさが…。欲を言えば「Dead Souls」も聴きたかったなぁ。

今回しかし体力的に疲れた…肩はこるし、頭は痛くなるし、心臓が…ついでに叫んだので喉も…「Hurt」の時合唱するつもりだったのが、苦しくて声が出なかった。ちょっとキレ過ぎた。もう歳だ。もうちょっと自覚しないと。

それにしても「Head Like A Hole」で終演したのですが、その瞬間、ステージ後方から浮かび上がった花火が感動的でした。

あとステージのバックLEDもカッコ良かったなぁ。

その後朝までサマソニ内でDEVOの80年のライヴ映像が上演する予定だったので観ていこうと思ったのですが、タイムテーブルを見たら10分位しかやらないみたいだったのでやめました。しばらくメッセでまったりしてから帰りました。

出来ればエコバニとデュラン・デュランも観たかったけれど、時間と場所取りの関係上残念ながらそちらは断念しました。(お笑いも観れなかった)

あ、そうだ、マックスコーヒーもとりあえず飲んでおきました(千葉、茨城限定の甘ったるい缶コーヒーね)。
  RIP RIG+PANIC/I AM COLD

riprig.jpg 元ザ・ポップ・グループのブルース・スミス(ds)、ガレス・セイガー(g,sax)らが中心となって結成されたパンキッシュなファンク/フリージャズバンドの82年にリリースされた2nd。

 ネネ・チェリーがヴォーカルで参加。またネネの義父でもあるフリー・ジャズ界の重鎮、ドン・チェリー(tp)もこのアルバムで参加しています。

 音はザ・ポップ・グループの様に混沌としてはいますが、ジャズ色が強く、こちらの方がもっと“ファンク”と云う“ノリ”に重点をおいて演奏している感じです。ただそれは同じポップ・グループから枝分かれしたピッグ・バックの様に素直なファンクにはなってなく、“キレ”てます。特にマーク・スプリンガーのピアノの時折みせる狂いまくった演奏。かなり きています。

 個人的にはこのアルバムを聴くとロバート・ワイアットの「THE END OF AN EAR」を彷彿とさせます。リップ・リグ&パニックはそれにもっとファンク色を強くした感じでしょうか。
  THE POP GROUP/FOR HOW MUCH LONGER DO WE TOLERATE MASS MUDER?

popgrp1.jpg マーク・スチュワート(Vo)他計5人から成るイギリスの過激なダブ・ファンク・パンク・ロック・バンドの80年にリリースされた2nd。

 1stの「何か檻の様なものに閉じ込められた中で、もがきあがいている様な音世界」も好きですが、よりファンク色の強いベースに代わり聴く側にもノリが掴み易くなった2ndをここではオススメします。

 ノリが掴み易くなったと言ってもあくまで1stと比べての話なので、感情のおもむくままに暴れまくっていて凄まじいものがあります。ただそれだけだと、好き勝手にやってるだけで終わってしまいがちですが、ベース(土台)がしっかりしているため、その上で暴れていても1つ締まりがあります。

 緊張感漂う中、どこか余裕みたいなものが1stよりもあり、そのせいかどこかつい笑ってしまうような箇所も見受けられます。しかし、これを最後にメンバーが分散してしまった事を踏まえると、それは余裕と言うよりも、ある種の開き直りだったのかも知れません。

 このアルバムの冒頭を飾る「Forces of Opperession」の出だしの“ケチャ”は今聴いてもワクワクさせます。

 リリース当時、曲名で「Feed The Hungry」が「メシ食わせろ」の邦題になっていたのには笑えました。これって明らかにINU(町田町蔵改め町田康がかつてやっていたパンクバンド)の「メシ喰うな!」に対抗して付けましたよね。

>>リップ・リグ&パニック/アイ・アム・コールド
ribot3.jpg 最近ではすっかり“偽キューバ人”の方で有名になってしまった感のあるマーク・リーボゥですが、80年代はザ・ラウンジ・リザーズザ・ジャズ・パッセンジャーズのメンバーで、その後もトム・ウェイツやエルヴィス・コステロ等の作品やツアーに参加していたりと幅広く活躍している個性的なギタリストです。

 自分が初めてマークのソロナンバーを聴いたのは布袋寅泰のラジオ番組でジミ・ヘンドリックスのカヴァー、「ザ・ウィンド・クライズ・マリー」が流れた時でした。ゆったりとしたテンポの中、マークのギターはとても不思議な音程感を醸し出し、そこにアート・リンゼイのノイジーなギターが絡み、更にメルヴィン・ギブスのスラッピングがかったベースも絡んで、そしてマークの気だるそうな語り口調のヴォーカルが乗っかるという、何とも妙なアレンジに自分は気持ち良さを覚えました。

 ここでオススメするアルバムはその曲も収録されている彼名義の90年にリリースされた1stで、彼のアルバムの中では比較的ジャズよりな作品の部類の1つです。ジャズと云ってもマークのそれは前述の曲説明の様にとても屈折しています。次作「Requiem for What's his name」になるとさらにそれが際立ってくるのでそちらもオススメですが、個人的にはこちらの、NYダウンタウンの空気感の漂う雰囲気が好きなので今回はこちらをオススメしておきます。

 「不思議な音程感~」とマークのギターを最初に説明しました。それは例えば、今堀恒雄はティポグラフィカで“リズムの訛り”を追求していましたが、それから言うとマークのギターはとりわけ“音程の訛り”と言った所でしょうか。ただこちらは追求と云うよりも持ち味と言った感じですが。厳密に言うと音程だけでなく、音を発するタイミングにも微妙なクセがあります。
ただそれは一聴するとこの人は単にギターが下手なのではないかと思わせてしまうのですが、それはこのアルバムの4曲目の、指板の上を走る指さばきを聴けば決してそんな事はないと云うのが判ります。

 まあとりあえずコレを聴いて彼の独特なギター感覚に浸ってください。

 よりノイジーで轟音なものをお求めの方は「シュレック」がオススメ。
gubb.jpg マッツ/モルガンのキーボーディスト、マッツ・エイベリーとビッグバンドとの共演アルバム。

 このアルバムを一通り聴き終えると恍惚感に浸れます。まるで映画を見終えた後にくる心地良さが尾を引くって言うか・・・・。

 1曲目の「Prelumea°」のキラキラした音色が夜空を連想させ(曲名の意味は知りませんが)、まるで夢の世界へ案内してくれる序章のようです。

 変拍子は多いもののマッツの持っている変態性よりも、良質なポップ性がここでは大きく表れています。ヴォーカル曲も2曲有り、(内1曲はビーチ・ボーイズの曲)ロマンティックと言うよりは、ファンタスティックといった感じ。ディズニー好きにはオススメ(かも)。

 自分はビッグバンドモノを数多く聴いているわけではありませんが、ジャンゴ・ベイツ同様、皆で楽しみながら1つの音空間を完成させると言った、演奏者1人、1人から音楽に対する愛情を感じさせるとても好きなフォーメーションです。そう言った意味では、もしこのアルバムを聴いて好きになった方は、ジャンゴ・ベイツのアルバムもオススメします。彼もマッツ/モルガンの様な痛快なハチャメチャさも感じられるし。
20070303140240.jpg 80年代中期から90年代初期まで活動していたイギリスの先鋭的な21人編成のビッグバンド。ジャンゴ・ベイツが当時在籍。3枚のアルバムと、1枚のライヴアルバムをリリースしました。

 ここでオススメするのは1stで、2nd以降の方が完成度は高くなりますが、このアルバムの方が勢いが感じられ、演奏の一つ一つが、ウチのバンドサウンドをとにかく聴いて欲しいと言っているかの様で、エネルギーが伝わってきます。決して気持ちだけが先行して、演奏がついて来ていないと言う事はなく、なるほど伝えたがっているだけの音はあるなぁと頷いてしまう程の説得力があります。

 ジャズ・パッセンジャーズ同様、皆でジャズを楽しんでいるかの様な雰囲気と、演奏者一人一人の個性が感じられ、尚かつうまくアンサンブルに溶け込んでいて個人の突出を感じさせないいい距離感があります。21人という大編成でその距離感を保てるのだからすばらしい。まあ、ビッグバンドというものはそういうものなのでしょうけれど。
又、伝統的なジャズの流れを継承しつつ、決してそれだけには留まらず、サルサやゴスペルなど色々な要素を取り入れたりもして、曲に幅を広げています。

 解散後は、ジャンゴ・ベイツのソロにより、ほぼ同じメンバーでビッグバンドを継承しますが、そちらはルース・チューブスよりも更に屈折しています。
vibes.jpg ザ・ジャズパッセンジャーズ(以下JP)のビル・ウェア(Vib)、ブラッド・ジョーンズ(b)、E.J.ロドリゲス(ds)から成るトリオの1st。2ndはヴィブラフォンをエレキギターの様に歪ませたり、EJのパーカッション・ソロを曲間に挟んだり色々面白い事を試みてはいますが、何からしくなく、3rdは、クラブ受けしそうな聴き易さが有ってそれはいいのだけれど、それだけでどこか物足りなさが感じてしまいます(ビルの上手いヴォーカルが聴けるのは意外でしたが)。

 1stが一番、下手な小細工などなく、この3人だから奏でられる音というものが素直に出ていて、カッコイイ。JPより人数が少ないからか、3人の個性がよりハッキリ聴こえてきます(例えばブラッドの弾いたり擦ったりする弦の音とか)。

 自分はJPのアルバムをオススメした所でメンバー全員がいい音を鳴らしているとコメントをしましたが、実を言うと、EJのドラムだけそこでは物足りなさを感じていたんです。なんかボトムが弱いと言うか。しかしこのトリオでの彼のドラムはJPのような物足りなさは全く感じられません。やはり人数が少なくなった分、個人の表現出来る割合が多くなったからなのでしょうか。ここでの彼のドラムにはラテン的な“熱さ”だけでなく、都会的な“クールさ”をも同時に感じ取る事が出来ます。特に“Reunion”での滑らかなブラシさばき。これがまたカッコイイ。

 プレイだけではありません。ビルの作る曲も良いです。自分はJPの3rdに収録されている彼の曲“Seven Guys With a Reason”が凄く好きで、その時から彼の作る曲には魅力を感じていました。ここでもヴィブラフォンの、又は各々の楽器の絡む時の“気持ち良い響かせ方”を踏まえた曲の作り方をしています。

 是非生演奏を体感したいトリオですが、ビル・ウェアー以外のメンバーが代わってしまい残念です。
jazzpsngrs.jpg 90年以降のザ・ラウンジ・リザーズは、“ジョン・ルーリーのバンド”と言うイメージが強くなり、彼と他のメンバーとの間に幾分距離を感じてしまう所がありました。

 ザ・ジャズ・パッセンジャーズは、80年代中期のザ・ラウンジ・リザーズに在籍していたロイ・ネイザンソン(sax)と、カーティス・フォウルクス(tb)が中心と成って結成されたセプテットですが、決して“ロイとカーティスのバンド”と言うイメージにはなっておらず、メンバーそれぞれの距離感が均等に感じ、それがとてもいいバランス感で音に反映しアンサンブルを奏でています。自分はこのメンバーのマーク・リーボゥのギターが大好きなのですが、このギターがここではとても「いいポジションで鳴ってるなあ」と思わせてくれるのです。勿論、他のプレイヤーもそうで、メンバーは皆とても個性的なプレイヤーなのですが、決してそれは出しゃばらない。しかし、存在感はしっかりあるいい演奏をしています。

 更に比較してしまいますが、90年以降のザ・ラウンジ・リザーズは、「大人の男」みたいなのを独自のスタイルで表現しているようなイメージを受けるのに対し、ザ・ジャズ・パッセンジャーズは、そのバンド名の通り、ジャズを楽しみながら旅をする仲間達の様です。

 ジャズ・パッセンジャーズのジャズは、ジャズと言ってもどこかクセのある、決して普通じゃないジャズです。同じ“普通じゃないジャズ”でジャンゴ・ベイツと比較してみると、あちらにはインテリジェンスなものを感じるのに対し、こちらにはどちらかと言うと庶民的なものを感じます。最近ではデボラ・ハリーなんかがヴォーカル参加し、割と普通のジャズになってしまっているので、この頃が1番面白かった感があります。

 ここでオススメするアルバムは3rdですが、残念ながらこれを最後にマーク・リーボゥは離脱してしまいました。と言う事でこのアルバムはマークの在籍していた時期の完成系と言った所でしょうか。
昨日、今日と自転車で茨城県南部にある故郷まで帰ってきました。
江戸川の土手を通って千葉県野田市を抜けて帰りました。

この2日間とても暑かったです。
別に夏が好きってわけじゃないけれど、暑いのは嫌いだけれど、でも夏はこうでなくちゃとも思います。

とにかく暑くて途中で何度もコンビニや自販機で飲み物買ってしまいました。
しかし茨城には自分が毎日飲んでいる健康菜園ベジタブルミックスがどこにも売ってない!
とりあえずマックスコーヒー(千葉、茨城限定の甘ったるい缶コーヒー)は飲んでおきました。

それにしても草の匂いとかが懐かしいですわ。田舎は。

小学生の頃よく親に連れて行ってもらった喫茶店に行ってスパゲティーナポリタン(あの口がやたら赤くなるやつね)を食べようと思ったんですけど、その喫茶店がなくなっていました。ちょっと悲しい。ポール・モーリアの「恋はみずいろ」(「オリーブの首飾り」じゃないよ)を聞くと、その喫茶店思い出すんですよ。そこに置いてあったTVゲームの「ブロックくずし」もよくやらせてもらったっけ(ぅわ!古!)。
代わりに帰りに東京の喫茶店でナポリタンを食べておきました。

今晩江戸川で花火大会が行われるので帰りがけに観て行こうとも思いましたが、土手が人で込んでいて通り抜け出来ないだろうと思ったので、あえてさけて帰ってきました。

本当だったら、その花火を撮ってきてアップしようとも思ったのですがやめたので、その代わりに去年の地元の花火大会を撮ったやつがあるので、それをアップしておきます。

hanabi1.jpg


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田んぼも撮ってきました。

tambo.jpg

因にウチの実家は農家ではありません。
音楽好きなら誰しもお気に入りのレコード屋をいくつか持っていると思います。
ただそれも時代の流れから潰れていって(もしくは営業形態が変わって)しまうものも多く、自身の聴く音楽の趣味の変化もあったりでその時、その時にお気に入りの店が変わったりもします。

自分は昔だったら渋谷CSV(今のDressBlackの所でした)や六本木WAVE(今の六本木ヒルズの辺りでしたね)、ディスクユニオン渋谷2号店とかがお気に入りでしたが、これらは今はもうありません。
最近ですと、下北沢の「onsa」(移転したんでしたっけ、最近行ってないや)や「アクア・ミカンス」等もそうですけれど、家からアクセスし易いと言う事でよく行くのは、「タワーレコード渋谷店5Fの一角」です。
ここをかつての六本木WAVE好きなんかが利用する人は多いと思います。
基本的にここはジャズフロアーなのですが、この一角だけは別格で、ジョン・ケージなどの現代音楽からジャーマン・エクスペリメンタル、イーノ等のアンビエント、TORTOISE等のポストロック、エレクトロニカ、モンド系、そしてレコメン系やニッティング・ファクトリー系のアヴァンギャルド等を取り揃えていて、その辺が好きな人にはたまらない空間です。
書籍も個性的な取り揃えで、この辺好きが好みそうな、サブカル系が割と充実しています。
坂本龍一も自身のラジオ番組でalva notoとのコラボCDがここで凄く売れているとコメントしていたので、この一角はそれなりに認知されていると思われます。

このブログでデヴィッド・ヴァン・ティーゲムの事を書き込んでいる時、そういえば自分、スティーヴ・ライヒの「18人の音楽家のための音楽」のCD持っていなかったなと思い、それを買いに昨日久々にここに行ってきました(よく行くと言っときながら久々かよ!って突っ込まれそうですが、仕事が忙しくてたまたま1ヶ月位行ってなかったんです)。
そしたら元スタンプのベース、ケヴ・ホッパーの新譜発見!(Spoombung名義に改名)そうか、出てるのすっかり忘れてた。購入しました。
彼の最近のソロはラウンジ系のゆるい音楽なのですが、昔のヒネクレポップを演っていたケヴを知っている自分としてはどうしてもその辺を期待してしまい物足りなさを感じていました。でも今回は昔程ヒネクレてはいませんがなかなか聴き応えのあるアルバムになっていて面白かったです。

クリス・カニンガムのショートフィルムのDVDをみつけました。ジャケットを見るとあいかわらずやばいですね(と言うより気持ち悪い)これはこの日は購入を見送り。

映画「moog」がもうDVD化されたんだ。う~ん買う程でもないかなぁ。

ブレイクダンスがはやっていた頃の映画「ビート・ストリート」(DVD化)の、ロック・スティディ・クルー対ニューヨーク・シティー・ブレイカーズのダンスバトルの映像部分が流れていて、つい見入ってしまいました。懐かしいー!自分も昔アーサー・ベイカーの「ブレイカーズ・リベンジ」でブレイクダンスしたっけ。うわーなんかまた踊りたくなってきた(笑)

と言うわけで、久々にこの一角を満喫してきました。

あ、ライヒのCDも忘れず買いましたよ。

因に同じタワーレコードの新宿店の9Fの一角もここ程ではありませんが似た様な雰囲気を持っています。
  THE LOUNGE LIZARDS/THE LOUNGE LIZARDS

lounge.jpg ジョン・ルーリー(sax)、イヴァン・ルーリー(pf、org)スティーヴ・ピッコロ(B)に加え、ペル・ユビュ、ゴールデン・パロミノス、FOEのアントン・フィアー(ds)、そしてDNA、アンビシャス・ラヴァーズのアート・リンゼイ(g)から成るニューウェイヴ・ジャズ・クインテット、ザ・ラウンジ・リザーズの1stアルバム。

 この後にメンバーはどんどん入れ代わり、オリジナル・メンバーはルーリー兄弟だけに成ってしまいます。マーク・リーボゥ(g)が在籍していた頃も凄く好きですが、どれか1枚だけといったらこのアルバムをオススメします。
 
 スタイルはパンキッシュなジャズと言った感じ。スティーヴ・ピッコロが土台をしっかり固め、その上で他のメンバーが一歩も譲らず格闘しているといった感じ。アントン・フィアーのドラムは演奏がタイトでしっかりしてるけど、格闘に参戦して負けておらず、アート・リンゼイはチューニングを狂わせたギターを歪ませガシャガシャかき鳴らし、イヴァン・ルーリーはピアノ、オルガンを不協和音で対抗し、ジョン・ルーリーのサックスはラリッて足元が落ち着かない。

 このテンションの高い記録は1981年当時のニューヨークのトンガッていたムーヴメントの1つのキセキ。

 プロデュースは、マイルス・デイヴィスでおなじみのテオ・マセロ。
cashin.jpg イギリスの先鋭的なビッグバンド、ルース・チューブスのメンバー、ジャンゴ・ベイツ(key,EbHorn他)、スティーヴ・アルゲリス(ds)そして、ジャンゴ、スティーヴのソロにも参加し、ジャンゴのビッグバンド、ディライトフル・プリスピスのメンバーでもあるスチュワート・ホール(g,b,vln他)の3人から成る、88年発表の2ndアルバムです。

 メリーゴーランドをバックに写っているジャケットからも伺える通り、3人はまるで遊園地内を楽器を演奏しながら歩き回る道化師の様です。遊園地に色々な乗り物やアトラクションがある様に、このアルバムにも、色々なタイプの“音楽”と言う乗り物やアトラクションがあります。それらは皆楽しいものばかりで、一日中そこにいても飽きさせません。

 とても遊び心の感じる、聴き応えのあるアルバムです。

 より手作り感のある前作「HUMAN CHAIN」もオススメ。
先程、CATVでスコットランド・プレミア・リーグ(以下SPL)の開幕戦のマザウェル対セルティックを観ました。他チャンネルでツール・ド・フランスの総集編をやっていたためそれを観た後なので途中からですが。

中村俊輔はこの開幕戦には選手登録が間に合っていないので出場していません。

これ観て思ったのが、俊輔のセルティック移籍がなければ、点の取り合いで(4-4ドロー)かなり楽しめた試合だったなぁという事。
って言うのは、このSPL内での争いの時は、2強(セルティックとレンジャーズ)以外のチームが2強を脅かしてくれる試合内容を期待しているので(SPLのレベル向上を願っているため)、俊輔がセルティックに居るとなると同じ日本人としてやっぱり応援したくなるのでそうもいかなくなってしまうなぁと。

複雑な気持ちになってきた。

例えば自分はマンチェスター・ユナイテッドは応援していませんが、ダレン・フレッチャー(スコットランド代表)には活躍して欲しいと願っているので、俊輔もそういう風に応援すればいいかなとも思ったのですが、でもこっちの場合セルティックがこのまま負け続けると俊輔が加入してから戦力がダウンしたなんて世間に思われそうなので、負けて欲しくないって言うのもあるし…

次節もセルティック戦を放送する予定みたいなのですが、これはこれで俊輔のSPL初舞台の可能性が高いから観たいのでいいのですが、なんかこのまま毎節セルティック戦ばかり放送されてしまうのはちょっとやだなぁ。そう言えば昨シーズンの放送もセルティック戦ばかりでレンジャーズ戦でさえ少なかった気が。出来ればセルティック戦はどこか地上波のチャンネルが放送してくれて、CATVは他のSPLの試合を放送してくれるとありがたいのですが。
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