【アルバム】日本もの

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 shuumaさんのブログに自分が書き込んだコメントとかぶりますが、shuumaさんのリクエストにお応えして自分のブログでもこのアルバムの事を紹介してみます。

 言わずと知れたYMOの「BGM」と並ぶ最重要アルバムです。

 このアルバムは、サンプリング、エスニック、ファンク、インダストリアル、ミニマル、現代音楽等々、いろんなキーワードで語る事が出来るのですが、それら全てをここで取り上げなくても他でも多く語られているのでここでは僅かにしておきます。そうしないとキリがないし。

 まず何と言っても細野さんの弾くベースがカッコいいんです。特に自分が好きなのが「LIGHT IN DARKNESS~灯」のベースなんですけれど、ファンクなのにいわゆる普通のノリノリにはならず、“間”を上手く生かして(いわゆる“タメ”)ここって所にさりげなく入ってくるんですね。これが凄くセンスいいんです。
technodelic2.jpg他にも「NEUE TANZ~新舞踊」では、これまた“間”を生かした音数の少ないスラッピングベースでこの曲に“ファンク”という“アクセント”を吹き込んでいます。“間”もここではしっかりと演奏になっています。
また「STAIRS~階段」では、教授の弾くピアノの下から階段を這い上っているかの様な不思議なベースがこの曲の陰鬱で怪しげな雰囲気を更に際立たせています。
自分はこのアルバムを聴いて改めてベーシストとしての細野さんを好きになりました。

 あと後期のYMOはコーラスグループでもあるとよく言われますが、このアルバムでそれが開花されたイメージを受けます。初期でもハモリはありましたが、いわゆる後期の様なハモリ路線は前作の「CUE」から始まったのだと思います。このアルバムなんかのっけから「PURE JAM」でアカペラですからね。スケッチ・ショウを初めて聴いた時も、あれこそコーラスグループだと自分は思いました。

 とにかく「BGM」も含め「テクノデリック」はとても聴き応えのあるアルバムです。

winterlive.jpg ついでに言っておくと、このアルバムがリリースされた後に行われたライヴの映像が「ウィンター・ライヴ’81」というDVDで観る事が出来ます。この映像を当時観た時はカメラワークとか映像の編集の仕方とかがまるでホームビデオを見ているかの様な質の低さを感じて嫌だったのですが、今は逆にそれがアンダーグランドっぽさが出ていていいのかもって思えてきました。このライヴ映像では「NEUE TANZ~新舞踊」で教授のアート・リンゼイそのまんまじゃんか!っていうギタープレイが聴けます。またアルバムではシンセベースだった「音楽の計画」では細野さんがスティングレーでファンキーなベースプレイを披露しています。あと今年の教授のソロライヴでも演奏された「ハッピー・エンド」では教授が前半をプロフェットで東洋的な旋律を奏で、後半をサスティン掛かったディストーションギターの様な音をプロフェットで弾いていて、気持ちいいです。

さて問題です。上記で「いわゆる」は何回使われたでしょうか?

>>YMOの呪縛
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maedaepitone.jpg このアルバムをリリース当時(97年)に坂本龍一好きの先輩から「聴いてみろ」と言われて聴かせてもらったのですが、1曲目からやられました…と言うよりなんか嬉しかった。

 前田和彦は、坂本龍一のラジオ番組内のデモテープオーディションから出てきたミュージシャンです。自分は坂本龍一の「スウィート・リベンジ」を聴いて一時期失望していたので、その時期(90年代後半)の教授のラジオ番組は聴いていませんでした。なので前田和彦は先輩に教えてもらうまで知りませんでした。

 これを聴いて何が嬉しかったのかと言うと、1曲目と3曲目にアナログシンセの名器「プロフェット5」系の音が気持ち良く使われていて、数少ないプロフェット系の音を使うアーティストが現れたと実感したからです。

 プロフェット5の音は“くすみ”や、ディチューン掛かった時の倍音感が独特で、他のシンセとは違った特徴を持っています。YMO中期やJAPANの「錻力の太鼓」等でこれをとてもおいしく使っていましたが、やがて使用される頻度は低くなるかもしくはプロフェットそのものの特徴を生かした使われ方をされなくなってしまいました。これだけ個性的で魅力のある楽器なのだから使いこなすミュージシャンがもっと増えて、ムーグの様に「プロフェット系」としてジャンル的に確立していってもいいのではないかと自分は前から思っているのですが…

 最近ではシミュレーターが出回っている位だから前田氏が実際にプロフェットを使ったのかどうかは判りませんが、この1曲目と3曲目のシンセの音は明らかにプロフェットを意識して再現した音です。しかもそれを古くさい音としてではなく現在の音として上手く取り入れているのです。

 このアルバムは他にもソウルフルでセクシーなヴォーカルをフィーチャーしたR&B調のものや、オシャレでグルーヴ感のあるラウンジミュージックなどいろんなタイプの曲があるのですが、それらが流行りの安っぽさみたいなものにはなっておらず、アレンジが緻密でよく考えられ、ハイセンスで、ちょっとマニアックな完成度の高いものに仕上がっています。とても(当時)新人とは思えない程の職人技を感じさせられます。

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 前田和彦を聴くと、昔の教授のラジオのデモテープ投稿ものの常連でハイセンスな曲を聴かせてくれていた岡元清郎氏もアルバムデビューしてくれていたらなぁとつい思ってしまいます。

 ウチにプロフェット5の本物は残念ながら無いので、その代わりにプロフェット5のピンバッジの写真でも→
  AFTER DINNER/Editions

afterdinner.jpg アフター・ディナーのアルバムは最近紙ジャケで再リリースされましたが、自分は未だそちらを購入していませんので収録曲が多少異なる英ReR盤の編集盤の方で話を進めます。

 アフター・ディナーは女性ヴォーカルのHACOが中心の関西出身のグループです。

 このアルバムではDr.ウツノミアの独特なテープ編集が特徴的で、1曲目の「アフター・ディナー」では雅楽の演奏をテープの音素材に使い、テープのつぎはぎやピッチチェンジ(テープスピードの変更)で音階を付けて伴奏にしています。それでも雅楽のかしこまった緊張感や、テープ編集の実験的な重々しさをあまり感じさせないのですが、それはHACOの作り出すメロディ-が童謡の様なシンプルさを持っていながらに良質なのと、HACOのとても上品で奇麗な歌声にあると思います。

 その歌声は、天使の歌声とも違うし、かといって母親の歌う子守唄ともちょっと違うし…こどもに受け入れ易くするために用いるコミカルな歌い方の部分を取り除いたうたのおねえさんみたいなもんかなぁ…う~んそれだと“作られた歌声”になるからちょっと違うか…とにかくHACOの歌には“丁寧”さが感じられ、聴いていて心地いい品のあるやさしい声をしています。

 元P-MODEL、メトロファルス、4-Dの横川理彦等、様々なノンジャンル・ミュージシャンも多数参加しているのですが、HACOのヴォーカルが乗るとここではそれらの演奏がみなトイチックに聞こえてしまうから不思議です(全曲がそういうわけではありませんが)。自分の大好きな曲「夜明けのシンバル」なんか、(自分の想像力が乏しくて申し訳ないのですが)こびとの行進曲の様です。だからと言ってそこにチープさは感じられません。かわいらしさともちょっと違います。どちらかと言うと音楽的ではない、感覚的な意味での“懐かしさ”をどこか感じさせるものがあります。ピアノの音もここでは放課後の音楽室から聞こえてくるアップライトの様です。

 アフター・ディナーは西洋音楽や日本の伝統音楽等をただ取り入れただけの見せ掛けなんかではない、オリジナリティを持った音楽として海外に高く評価されました。re.jpgアルバム後半はその海外でのライヴテイクが収録されています(紙ジャケ盤には未収録)。ライヴだからかこちらはもっと演劇的なダイナミックスさを感じさせます。P-MODEL時代にソノシートでリリースされた横川の曲「RE;」もここで聴く事が出来ます。勿論これは横川ヴォーカルです。因にソノシートヴァージョンはP-MODELのBOX「太陽系亞種音」にも収録されています。

 因にもう一つ、フレッド・フリス主演のドキュメントフィルム「ステップ・アクロス・ザ・ボーダー」にHACOとDr.ウツノミアが出演していて、HACOがピアノの弾き語りで「アフター・ディナー」を演っています。
YMObgm.jpg このアーティストの事は他で多く語られているため、ここで敢えて自分が語る必要もないのですが、それまで音楽と云ったらTVで流れてくる歌謡曲位しか興味が無かったの自分が(「テクノポリス」「ライディーン」も歌謡曲の一部として聴いていた)音楽の面白さを知るきっかけになったアルバムでもあるので、少しだけだけコメントします。

 これをそれまでレコード盤でしか聴いた事のなかった自分が、初めてCD盤を聴いた時に「ハッピー・エンド」だけレコード盤とは別のヴァージョンだと十数年前まで本気で思っていました。要するに、メディアを変えると、曲の表情までもが変わるとても不思議なアルバムと言えるのではないでしょうか。

>>YMO/テクノデリック

>>YMOの呪縛
koenjihyakkei.jpg ルインズと言えば、吉田達也のドラムと、ベースの2人だけのバンドですが、そこにキーボードと、ギターが加わると、この高円寺百景に成ります。

 フランスのマグマというプログレ・バンドに影響を受けたこのバンドは、やはりマグマのコピーから始まったそうです。

 演奏者皆がヴォーカルを取り、歌詞は全て造語と言うルインズと同じスタイルを取っています。変拍子が多いのもルインズ同様。異なる点は、ルインズは限られた楽器編成の中でそれ以上の音圧感を醸し出す、エネルギーを持ったバンドなのに対し、高円寺百景はギターとキーボードが増えた分曲構成に余裕が生まれ、それが遊び心に繋がっている所です。又、久保田安紀(key)のパワフルなオペレッタ・ヴォイスも、このアルバムの特徴を色付けています。

 ここでオススメするアルバムは1994年リリースの1stで、2nd以降になるとより呪術的でプログレ色も強まりマニアックな方向に行ってしまうため、和風や賛美歌風と色々なタイプの曲が盛り込まれ、遊び心に溢れている1stの方がオススメです。あと個人的に、1stで脱退してしまったベースの桑原重和の歌声(「ダーイオス!」)が好きでした。

>>高円寺百景の「Hundred Lights of Koenji」が再発
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 今堀恒雄(g,prg)率いる6人編成の、今や伝説となってしまったインスト・バンドの96年にリリースされた3rdです。今やカリスマ的存在にもなりつつある菊地成孔(Sax)も在籍していました。

 ティポグラフィカの事を安易に語ろうとする行為は、例えばムーンライダーズの事をあまり良く解らずに、ムーンライダーズを語る事位危険な為、わずかな説明だけにさせてもらいます。

 ここでティポグラフィカのキーワードでもある「リズムの訛り」や「ポリリズム」等を使って自分がヘタに説明しようとすると、変に小難しいバンドだと勘違いされてしまいかねないので、ここでは控えます。

 このバンドの魅力はライヴで聴くのが1番伝わり易いのですが、97年に解散してしまった為今では聴けません。ならばライヴアルバムである2ndをここでオススメするべきなのかもしれませんが、レコーディングバンドとしても円熟味が増してきているのでこちらを今回選びました。 ですが、基本的にティポグラフィカのアルバムは全部オススメです。ティポはアルバムの曲をほぼ完璧にライヴで表現していたから凄かった。要するに普通ライヴで表現するのが困難な位、アルバムは音が凄いと云う事です。それ以前にスコアの時点で普通の脳では思い付かない凄いものがあるのですが。

 勘違いして欲しくないのが、演奏テクニックの限界を追求しているバンドなんかではないという事です。まず楽曲ありきで、それを表現するために必要な演奏技術を用いてるだけなのです。

 そしてこんな凄いバンドがどこの国でもないこの日本に存在していたって云うのが驚きです。自分はそんな日本に生まれて、このバンドの音を実体験出来た事に幸せを感じてしまいます。

 “凄い”連発ですいません。でも本当に凄いんですから。

>> unbeitipo(今堀恒雄)

>>外山明(ティポグラフィカのドラム)
potpourri.jpg 平沢進(g,vo)率いるバンド、P-MODELの81年にリリースされた通算3枚目のアルバムです。

 前作までのテクノポップなイメージから一転、例えばシンセの音にピコピコ音を排除し、音の定位は、ギターとオルガンが両サイドに追いやられ、他はセンターに位置すると言ったスタイルが終止通され(「アナザー・スメル」は除く)、よりシリアスになり、リバーブが今までよりウェットになったのとディレイを効果的に使用している点以外は演奏も、サウンド的にもそんなに凝ってはいません。(その代わり次作では音響的に追求した作品になっていますが)そう言ったぜい肉を削ぎ落としたシンプルなスタイルからP-MODELの中でもとりわけロックなアルバムと言えるかも知れません。

 しかしたすきのコピーには「ROCKは恥かしい」と記されています。という事は、恥ずかしい事をわざわざ自ら演じているのでしょうか?実はロックとここで言ったのは表面だけで見た話で、色々と屈折はしています。特に歌詞。普通、人間って「解る」とか「出来る」に気持ち良さを感じるものですが、自分はこの歌詞を聴いて「解らない」気持ち良さをおぼえました。「解り易い解らなさ」と云った所でしょうか?どっちみち自分の様な凡人は無理に理解しようとはしません。ここではそんな邪道な楽しみ方もありです。ただ歌詞を聴いて一つ解るのは、それまで外に向かって放っていたエネルギーを、ここで一度内側に方向転換をしている事です。ある意味たすきの「ROCKは恥かしい」は、「ロックで歌われているほとんどの歌詞は恥かしい」といった解釈の仕方も1つの手だとは思いますが、メンバーが意図してこのコピーを掲げたのかどうかは判らないので、そこまでこのコトバに過敏に反応する事でもないのかもしれません。

 自分は後追いでしたがP-MODELは順序良く1stから入りました。1st~2ndもそれはそれで好きでしたが、プラスティックス、ヒカシューと同じ、テクノポップ御三家の1バンドとしての印象でしかそこでは思いませんでした。しかしこの3rdは違いました。ここからは他の御三家とも、他のロックバンドとも違う(歌詞も含めて)カッコ良さを感じました。コレで自分はP-MODELにハマりました。

 とにかくP-MODELは奥が深いため、一枚聴いただけでは本当の良さが判りません。自分はP-MODELの中ではこのアルバムが一番好きなのですが、ただそれはP-MODELワールドの中での自分が選んだ表紙に過ぎません。例えばこのアルバムに限らず、ある1つのP-MODELの作品にあなたがハマったとします。でもそれはこのバンドの持っている魅力のほんの1部なのです。決してそれは1枚だけでは魅力が伝わりにくいと言うのではなく、1つ1つの作品毎に全然違う魅力があり、それが全て同じ“P-MODEL”なんだと言う事に改めて気づく事で判るこのバンドの凄さがそこにあるのです。
 
  余談ですが、アルバム最後の曲「ポプリ」の終章は、NEW MUSIKの「Warp」、又はルパート・ハインの「イミュニティ」のラストと同じ様なトリップ感を味わえます(まぁ、似た様な終わり方は探せば他にもあるでしょうけれど)。

 そして「ポプリ」で葬られた後、次作は「ヘヴン」から始まる。


[ブログ内関連記事]

>>次世代に伝えるべき日本のアーティスト

>>結構好きなこの曲(2)~荒木康弘「PROT DRUM」


userunknown.jpg* 皆が待っていた中野テルヲの唯一のソロアルバムです。大切に聴きましょう。(但し 2005年11月に新譜発売予定)

* 「オーロラ」の頃の平沢進に、もっと電気、機械に対する愛情が深くなった感じ。

* 電子音、機械音の使い方がとてもプリミティヴで、デリケート。

* キャッシュ・ディスペンサーや、プリンターの起動する音に気持ちよさを感じる人なんかは2曲目がオススメ。

* 5曲目なんかはロボットが歌うわらべ歌みたいなイメージを受けます。

* 皆の好きだった「コール・アップ・ヒア」は、ここではスペイシーなドラムン・ベースに変貌しています。

* 歌詞の世界は、凡人には理解しにくいものですが、全体で歌詞を理解しなくても、その中の一言、一言だけでも印象を持たせる、 又は そこだけで独自で解釈しても良さそうな位、コトバ1つ、1つの選び方に、センスの良さを感じます。

P-MODELに在籍していた頃の、激しくてカッコイイ中野照夫を期待したいでしょうけれど、年を重ねてきた彼にそれを要求するのは不可能な行為です。

* ここは皆さんで、中野テルヲの現在を見守る事にしましょう。

* 例えば、電子音や機械音は、 あくまでも音楽を構築するための素材でしか過ぎないと言ったアーティストもいますが、彼の場合は、電子音や機械音が本当に好きで、それらに愛情を注いだ結果が本人の作品に繁栄されていくと言ったタイプのアーティストなのではないでしょうか。
urbndnctwohalf.jpg 元4-Dで、最近ではヴィジュアル系バンドのプロデュースでも知られる成田忍(vo,g,他)ですが、そんな彼が以前に活動していたバンドの1つ、アーバン・ダンスの86年にリリースされた2ndアルバムを今回紹介します。 

 1stではかなりクセのあるテクノポップを披露していましたが、ここではテクノポップにこだわらず、空間的音処理にデジタルっぽさはあるものの、打ち込みよりも生演奏の感触が前面に押し出されています。それによりロックの持つダイナミズムや、ファンクの様なうねりなどあらゆる要素が増え、音楽の幅が拡がりました。そこに前作から見られたクセのあるアレンジでより一層刺激的なサウンドに仕上がっています。

 ゲストも多彩で、布袋寅泰、岡野ハジメ、梅津和時、横川理彦等。これも全て成田忍の音楽的センスの良さを買っての友情出演なのでしょう。ドクトル梅津のフリーキーなサックスは、先日オススメしたアンビシャス・ラヴァーズのゲストで吹くジョン・ゾーンに匹敵する程です。

 歌詞は一聴すると結構恥ずかしいラヴソングなのですが、クセのある演奏に乗っかって歌われると実は単なるラヴソングではなく、本当はもっと意味の深い歌詞なのかと深読みしてしまいます。作詞陣に鈴木博文や吉田美奈子というツワモノ達が提供しているのも意味深長な気にさせるのですが、意外にわざと恥ずかしいラヴソングをたださらけ出しているだけなのかも。
      
ad.jpg とにかく成田忍の多才振りがこのアルバムによって大きく開花した感じもしますが、本当は1stでもすでに開花は見られました。ただ、1stはテクノポップにコンセプトを絞り込んでいたため、まだ片鱗しか現れていなかっただけなのです。
 
 あ、でも収録曲の「CAMP」に関しては、高橋幸宏の素直なヴァージョンの方が個人的には好きかな。
groundzero.jpgサンプラーは、楽器音のシミュレートや自然音の楽器化としてだけでなく、ある作品そのものを解体、再構築、別解釈するあるいは作品そのものを楽器化するためのツールにも変貌します。ダンストラックとして利用される事の多いDJにも同様な機能を持ちます。このアルバムはそんなツールの使い方をした中でもとても完成度の高い1枚です。

 ハイナー・ゲッペルス&アルフレート・ハルトが、60年代の中国の革命京劇を音ネタにして作り上げた「Peking Opera」という1984年の作品を、世界に名だたる鬼才、大友良英が中心と成るグランド・ゼロが更にそれを主のネタにして新しく作品を作り上げました。

 いわゆる“サンプラー/ターンテーブルモノ”というのは、コンセプト以外に素材のチョイスと、それらの編み方のセンスで作品の良し悪しの大半が決まると思います。インパクトのある素材を選べば面白いものが出来るというものでもありません。そういうのは第一印象だけ掴んだらすぐ飽きてしまうのが大半です。又インパクトのある素材を選んだとしても、それを作品にどう溶け込ませるかによって生きたりも死んだりもします。このアルバムはその辺が絶妙に優れていて、かなりやばい音や、どうでもいい様な音等、色々使っているのですがこれらをとても気持ち良く響かせています。
関西のツワモノ・トリオ、アルタード・ステイツをはじめとする楽器隊の音色いわゆる“バンド・サウンド”パートも上手く絡み、凄みが際立ちます。
スクラッチノイズ、ギターノイズ、映画やTVからの音、更には官能小説等のリーディングなんかも有り、かなりやかましく音がごちゃ混ぜになっているのですが、嫌な威圧感は感じさせません。アルバム全体の曲の進行の流れもかなり良く出来ているので、聴いていても疲れません。“革命京劇”と言う、一つのテーマが一環として分かりやすく土台にあるのも要因だとは思います。
とにかくサンプリング/ターンテーブル系の音楽を好む方で耳にしていない方は是非聴く事をオススメします。sifukudan.jpg
 
 至福団の「致富譚 」も、アプローチに違いはありますが、かなり近い雰囲気を持っているのでオススメです(たまに「あの音ネタ、どっちで使ってたやつだったっけ?」なんて思う位)。
hajimesun1.jpg元プラスチックスのギター担当で、グラフィックアーティストでもある立花ハジメの通算4枚目のソロアルバム。

1st~2ndではサックスやクラリネット等を使ったアコースティックギコチナ系、3rdではサンプリングを大幅に導入したアート・オヴ・ノイズ風とそれぞれ面白い作品を残してきましたが、この4thでもまた面白い作品を作り出しました。

立花ハジメ、藤井丈司、飯尾芳文の3人が中心となって作り上げたこのアルバムは、音数が割と少なくシンプルなテクノポップ。こう書くとチープな印象を受けてしまうかもしれませんが、音数が少ない分ドラムの音空間処理に躍動感を与えパワフルさを醸し出しています。こう書くと今度はDAFをイメージするかも知れませんが、DAFよりむしろ他のノイエ・ドイチェ・ヴェレの一連のアーティスト(デア・プラン、パレ・シャンブルグ等)の持つヘンテコリンな感性の方に近いです。

音楽活動には留まらない彼の、アート作品でもあるオブジェ的な創作楽器はここでもフィーチャリングされています。

音数が割と少ないと言っても収録曲の中には「XP41」の様な、様々な音のパーツが楽曲の中で飛び交い、それらがメロディアスに交差するとてもアンサンブル感の気持ちいい曲も存在します。hajimesun3.jpg

しかしやっぱりこのアルバムで一番の目玉曲は「ChickenConsomme」です。チープなのにパワフルなシンセブラスと、打ち込みなのにパワフルなドラムスと、創作楽器だけで7分強駆け抜けるこの曲は、シンプルに物足りなさを感じさせず、ロングタイムにも飽きさせなくとても面白カッコイイです。是非オタメシあれ。
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