【アルバム】邪道(?)なジャズ

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かたやオルタネイティヴジャズ、かたやクラブミュージックを中心に活動する、アーティスト達による即興演奏のぶつかり合いを収めたコンピレーションCD+ドキュメンタリーDVDです。

食べ物をまさに口に入れようとする瞬間、舌からヨダレがジュワッと湧き出ますよね。それを興味のある音楽を聴き始める行為に置き換えると、「どんな音が飛び出すのだろう」もしくは、「好きな音楽が今から始まる」という思いから湧き出るワクワク感と一緒だと思うんです。どちらもそれが受け入れ態勢なわけですから。
これがインプロヴィゼーションになると、演奏者側だけのものだった“緊張”も聴く側が共有する事になると思うんです。それが疲れるのか、気持ちいいのかは聴く人次第、もしくは状況にもよるのでしょうが、今まで食べた事もない料理が目の前に出された時と感覚が似ているのかもって思ったりもします。

bycttrhythmmchnii.jpgこのCD.+DVDはタイトルに“VERSUS”と記されていますが、そこには単なる異種格闘技だけではなく、対話や、共存もあります。
その中でも自分がもっとも“対話”を感じたのが、高木正勝 vs 南博のピアノセッションでした。
相手の話を聴かないと対話が成立しない様に、相手の音を聴かないとセッションは成り立ちませんが(あえて聴かないと言う“手段”も時にはありますが)、演奏中、瞬時に相手の音をそこまで深く感じ取っていたのかとインタビューを聴いて感心させられました。南氏がインタビューで彼(高木)のピアノがジャズ臭くなかったから面白かったと言っていましたが、自分も高木氏のピアノは好きでした。ミニマルっぽいっていうか、フレーズの繰り返しが基本なんですね。それって普通、それっぽく聞こえるからごまかしが効くものなんですけれど、彼の場合、薄っぺらさはなく、知性を感じさせるんです。そこが好きでした。あと失礼ですけれど、インタビューの映像を観ていて、高木氏って人なりがカワイイなって思いました(笑)。いや、自分は決して男好きではありませんから。

人間関係にありそうなシチュエーションを彷彿とさせたのが、菊地成孔 vs 半野喜弘でした。人が人の輪の中に入る。そこで挑発を受けたり、揺さぶられたり、何かしらのアクションで探りを入れられ、試される。その時、菊地成孔だったらこう関わる。半野氏は迎え入れる側、菊地氏は訪れる側。半野氏によるあらかじめ用意されたシチュエーションの中で菊地氏はどう反応するのか。逆に半野氏からはあまり反応という部分は感じさせませんでした。名前は“ハンノ”なんですけれどね(寒!)。

“VERSUS”という言葉を鵜呑みにして言うと、対戦した両者はほぼ互角に自分には感じられました。対戦する一方に若手が多いのですが、負けていません。それを特に感じたのが最後のDJ、ドラム/パーカッション対決でした。DJ KENTAROはエッジのキレた攻撃的なスクラッチで先制し、DJ BAKUは間合いを見計らった絶妙なタイミングでエネルギーを注ぐ。自分、普段DJモノは聴かないのですが、これはホントカッコいいと思いました。

最初にも言いました様に、インプロヴィゼーションは、聴く側にも緊張感が共有されるため、気軽に聴けるものではないと少なくとも自分は思っていたので、今回、購入を後回しにしていました。しかしいざ聴いてみるとそんな構える必要はありませんでした。緊張はあるけれど、どれも皆引き込ませてくるだけの満足感と言うか、気持ちよさがありました。CDやDVDを視聴しながらこの文を書いていたんですけれど、そこでも引き込まれてしまい何度もキーを打つ指が止まってしまいました。

ただし、視覚からの方が入り易いと思ってDVDを先に観たのは失敗でした。というよりもったいなかった。インタビューや映像などの情報から受ける先入観を持たずにCDを聴いてまずそこで自分なりに感じ、それからDVDを観た方が、より楽しめるのではないかと思いました。先に述べた各々の感想だって、DVDのインタビューから情報を得た後に感じた事を書いていますから。

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 Medeski Martin and Wood/The Dropper

drppr.jpgジョン・メデスキ(org,pf)、ビリー・マーティン(ds)、クリス・ウッド(b)から成るトリオの、2000年にリリースされたアルバムです。

自分は一応ブルーノートからリリースされている彼らのアルバムは一通り聴いていますし、それ以前のはベスト盤でしか聴いていませんが、実はそんなに好きじゃないんです。なんかこういうジャムバンドに陥りがちな“慣れ合い”で演っている感じがして。

その中でもこのアルバムだけは何度もプレイヤーにかけてしまう位好きでよく聴きます。基本はジャズなんですけれど、ロックの持つダイナミズムや、荒削りっぽさが出ていて、そこにこのトリオ特有のグルーヴが上手く絡み、しかも慣れ合いではない、いい意味でのメンバー間での緊張感、スリリングさがこのアルバムには感じられます。音の空間/質感にもガレージっぽさが出ていて、カッコいいです。

以前渋谷のブリティッシュパブでこのアルバムをリクエストしてかけてもらった事があるのですが、一緒にいたロック好きの友人がそれを聴いて「カッコいいね」と言って興味を示しました。ちなみにその友人はルー・リードやニック・ケイヴを愛聴する男です。ロック好きと言ってルー・リードや、ニック・ケイヴというのもなかなかシブいんですけれど。そんなロック好きにも受け入れる事の出来る、ロックを感じさせる、幅広い音楽性をこのアルバムは持っています。

一方、これ以前にリリースされたアルバム「コンバスティケーション」はクラブ受けのいいアルバムですが、ゲストのDJロジックのスクラッチが自分には珍品的な印象を受け馴染めませんでした。
JAMES BLOOD ULMER/ARE YOU GLAD TO BE IN AMERICA?

aygtbia.jpg去年ケーブルテレビでジェームズ・ブラッド・ウルマーのニッティング・ファクトリーでのライヴ映像を見ました。そのライヴはフィンガリングでギターをかき鳴らした、まるでリタイアしたオヤジの道楽ブルースって感じでしたが(すいません言い過ぎました)、これを見たのをきっかけに、前から聴いてみたいと思っていたジェームズ・ブラッド・ウルマーのCDを購入しました。

それで手に入れたのが、ここで紹介する「アー・ユー・グラッド・トゥ・ビー・イン・アメリカ」です。

彼はオーネット・コールマンのハーモロディック理論の精神を継承したギタリストとしても知られています。ジャズのフィールドで語られる事が多いのですが、彼が最も先鋭的だった70年代後半~80年代前半の頃にこのアルバムはリリースされ、ラフ・トレードというレーベルからリリースされた事もあって(CDはDIWから)、ロック好きにも注目されたようです。前にここで紹介した「ロック・オルタネイティヴ」でも取り上げられています。

1曲目から小気味良く切り刻むウルマーのギターが軽快なファンクに絡んでいきますが、次第に共演者と共に急々しく落ち着きのないスリリングな演奏に向かっていきます。

ウルマー自身のヴォーカル曲も2曲ありますが、これは割と真っ当なファンクです。幼少の頃からゴスペルグループで歌いながらギターを弾いていたらしいので、味のあるヴォーカルを聴かせてくれます。

自分はオリジナルのラフトレ盤は聴いた事がなくミックスダウンし直したCD盤の方しか聴いていないので、こんな事言うのは軽率かもしれませんが、音質はクリアーなのですが、その分時代の空気感が損なわれた印象を少し受けました。

自分はこのアルバム以外に「ブラック・ロック」も入手しました。そちらは更にテクニックが高度になっています。とても刺激的で好きなアルバムですが、そのテクニックが自分にはやや誇示しているかの様にも聞こえてしまうので、どちらかと言うと「アー・ユー~」の方が好きですね。

ウルマーの他の作品で気になるのは、オーネット師匠やジャマラディーン・タクマ等が共演している「Tales Of Captain Black」と、Music Revelation Ensemble名義の「No Wave(タイトルからして気になる)」です。今探している最中です。
Django Bates/Winter Truce (And Homes Blaze)

wntrtrsjckt.jpg ジャンゴ・ベイツ絡みのアルバムはこれまでにHUMAN CHAINLOOSE TUBESを紹介しましたが、今回はジャンゴ・ベイツ名義のアルバムを一枚オススメします。

 英国の個性的なジャズ・ミュージシャン、ジャンゴ・べイツの95年リリース通算4枚目のソロ・アルバムです。

 彼はピアニスト、キーボディスト、Ebホルン奏者、そしてビッグ・バンドのバンマスでもあります。

 このアルバムは曲によって「DELIGHTFUL PRECIPICE」と云うビッグ・バンドと、「HUMAN CHAIN」と云うカルテットの演奏で分かれています。
 
 本当はジャンゴの作品の中からは「Music For The Third Policeman」か「Summer Fruits」をオススメしようと思っていたのですが、特に紹介したい収録曲があると言う理由で、今回これを選びました。それはあの有名な曲「ニューヨーク・ニューヨーク」の変態ヴァージョンです。原曲の方(誰が歌っているのが原曲かは知りませんが一般的に耳にするこの曲のイメージ)はアメリカン・ドリームで満ちあふれていた当時のニューヨークを象徴したかの様なものになっているのに対し、こちらは正に現代の混沌としているニューヨークを象徴したかの様な演奏になっています。そこにはグランジもサルサもあり、様々なSEも飛び交ってグチャグチャ状態。だからといってそこに絶望感はありません(因にこれはニューヨーク同時多発テロが起こる前にレコーディングされたものです)。

 これはジャンゴ・ベイツの音楽全般にも言える事ですが、彼の音楽には前向きな明るさがあります。別に苦境を背負っての前向きではなく、最初っから前向きなんです。と言ってもただのお気楽音楽を演っているわけではなく、例えば収録曲「Powder Room Collapse」では“パウダー”を“コカイン”ともなぞらえ、ハイとローを曲中で表現する事で、ハイ(気持ちいい)の瞬間を長くし、ロー(崩壊)を後送りするコカイン常用の無意味さを提示していたり、しっかりとした意味が込められているのです。

 そしてそれらが音数の多い、複雑なアレンジで奏でている所が彼の魅力でもあります。それには共演者達の力量も大きいとは思いますが、とにかく、ジャズにもこんな面白いアーティストが存在する事をもっと多くの人に知ってもらいたいです。
  HIM/SWORN EYES

HIM2.jpg 音響系ジャズでこれはオススメしておかなければならないものがもう1枚。

 HIMはダグ・シャーリン(ds)を中心とするユニットで、(先日サマソニで来日した北欧のロックバンドのHIMとは別物)99年発表のこのアルバムではTORTOISE周辺のシカゴ勢(バンディ・K・ブラウン、ロバート・マズレク、ジェフ・パーカー)が参加する事により、元々ダブの影響が強いロックだった所からジャズ色が強まり浮遊感漂う空間性に満ちた作品に仕上がっています。特にロバートのコルネットが効果的です。

 とにかくこのアルバムは気持ちが良いです。それは各々の演奏のアンサンブルの響きからくるものもあるのですがそれだけではなく、エフェクト音の飛び交う空間からにも感じてきます。3曲目なんか控えめな演奏の上、同じフレーズをただひたすら繰り返すだけなのにこれがまた気持ちいいんです。ダブで習得したのか、リバーブの深さ加減といい、シンセもしくは何かをエフェクト加工した音の音色といい、それはまるで浅い眠りのぼんやりした感覚に近いものがあります。アイソトープ217°の1stの持つ浮遊感やタイド・アンド・ティックルド・トリオの持つクールさとはまた違った感覚がここにあります。

 このアルバムリリース後のライヴを自分は観に行きましたが、生演奏でこのアルバムの曲を表現するのには無理が有るなと感じました。あとその時初めてダグを見たのですが、格闘家のマイク・ベルナルドかと思いました(笑)。
  TIED+TIDCKLED TRIO/EA1 EA2

ttrio.jpg ドイツの音響ジャズ・グループ。名前はトリオだけど、メンバーは7人編成。
 
 クールなジャズに電子音が程良く絡む渋いアルバム(2000年リリース)。

 ベースの弦をはじく音や、サックスの息づかいの音がリアルに聞こえ、なのに別にクリヤーな音質というわけではなく、古くささを感じさせる音の質感がまたシブイ。

 メンバーのユハネス・エンダース(sax,pf)は、ドイツでは名の知れたジャズ・ミュージシャンらしいのですが、そう言った腕の立つミュージシャンがこう云う違ったジャズのアプローチに積極的に参加する事が最近増えてきているのでリスナーとしてはとても喜ばしい限りです。ただ流行り的に音を取り入れているだけのジャズミュージシャンも中にはいますが…

 他にもドラムループを用いたり、ダブ的音処理を施したり、色々志していて面白い。

>>tied & tickled trio/ea1 ea2 rmx
  ISPTOPE 217°/THE UNSTABLE MOLECULE

isotope21.jpg TORTOISEのダン・ビットニー(ds,perc他)、ジョン・ヘーンドン(ds,perc他)、ジェフ・パーカー(g)、シカゴ・アンダーグランド・オーケストラのロバート・マズレク(cor)、サラ・P・スミス(tb)、トランクイリティ・ベースのマシュウ・ラックス(b)から成る音響派ジャズ・グループの1st。

 TORTOISEをもっとジャズよりにした感じ、と言えばある程度伝わるでしょうか。音作りのプロセスでは、TORTOISEとほぼ同じで、各人の演奏は素材の一部にしか過ぎずそれをケーシー・ライスと、バンディ・K・ブラウンの2人の(ここでは)サウンド・エンジニアが手を施し、空間性に満ちた作品に仕上がっています。

 リズム隊が時にはファンクさを醸し出す事はありますが、全体的に音はクールな印象を受けます。サラとロブの奏でるホーンが、浮遊感を漂わせてとても気持ち良いです。ジェフのギターは時折不安定な音色を奏でる事があるのですが、その不安定具合がセンス良くて個人的には好きです。そこら辺はマーク・リーボゥを彷佛とさせる所があります。

 メンバーのダブりもあってか、どうもTORTOISEのサイド・ワーク的な印象を受けがちですが、そう思われるにはもったいない位とてもよく出来たアルバムです。実際クラブ界でもこのアルバムは一時期評価が高かったそうです。

 2ndになると躍動感あふれ、プレイヤーとしての気質が目立ち始めてきますが、3rdになると2ndの反省があったのかどうかは知りませんが、今度は逆に極端に素材の生演奏が見えてこない位に編集しまくっています。自分はは2nd、3rdもそれはそれで好きですが、“プレイ”と“エディット”がバランスよく溶け合っている1stを、ここではオススメします。
  RIP RIG+PANIC/I AM COLD

riprig.jpg 元ザ・ポップ・グループのブルース・スミス(ds)、ガレス・セイガー(g,sax)らが中心となって結成されたパンキッシュなファンク/フリージャズバンドの82年にリリースされた2nd。

 ネネ・チェリーがヴォーカルで参加。またネネの義父でもあるフリー・ジャズ界の重鎮、ドン・チェリー(tp)もこのアルバムで参加しています。

 音はザ・ポップ・グループの様に混沌としてはいますが、ジャズ色が強く、こちらの方がもっと“ファンク”と云う“ノリ”に重点をおいて演奏している感じです。ただそれは同じポップ・グループから枝分かれしたピッグ・バックの様に素直なファンクにはなってなく、“キレ”てます。特にマーク・スプリンガーのピアノの時折みせる狂いまくった演奏。かなり きています。

 個人的にはこのアルバムを聴くとロバート・ワイアットの「THE END OF AN EAR」を彷彿とさせます。リップ・リグ&パニックはそれにもっとファンク色を強くした感じでしょうか。
ribot3.jpg 最近ではすっかり“偽キューバ人”の方で有名になってしまった感のあるマーク・リーボゥですが、80年代はザ・ラウンジ・リザーズザ・ジャズ・パッセンジャーズのメンバーで、その後もトム・ウェイツやエルヴィス・コステロ等の作品やツアーに参加していたりと幅広く活躍している個性的なギタリストです。

 自分が初めてマークのソロナンバーを聴いたのは布袋寅泰のラジオ番組でジミ・ヘンドリックスのカヴァー、「ザ・ウィンド・クライズ・マリー」が流れた時でした。ゆったりとしたテンポの中、マークのギターはとても不思議な音程感を醸し出し、そこにアート・リンゼイのノイジーなギターが絡み、更にメルヴィン・ギブスのスラッピングがかったベースも絡んで、そしてマークの気だるそうな語り口調のヴォーカルが乗っかるという、何とも妙なアレンジに自分は気持ち良さを覚えました。

 ここでオススメするアルバムはその曲も収録されている彼名義の90年にリリースされた1stで、彼のアルバムの中では比較的ジャズよりな作品の部類の1つです。ジャズと云ってもマークのそれは前述の曲説明の様にとても屈折しています。次作「Requiem for What's his name」になるとさらにそれが際立ってくるのでそちらもオススメですが、個人的にはこちらの、NYダウンタウンの空気感の漂う雰囲気が好きなので今回はこちらをオススメしておきます。

 「不思議な音程感~」とマークのギターを最初に説明しました。それは例えば、今堀恒雄はティポグラフィカで“リズムの訛り”を追求していましたが、それから言うとマークのギターはとりわけ“音程の訛り”と言った所でしょうか。ただこちらは追求と云うよりも持ち味と言った感じですが。厳密に言うと音程だけでなく、音を発するタイミングにも微妙なクセがあります。
ただそれは一聴するとこの人は単にギターが下手なのではないかと思わせてしまうのですが、それはこのアルバムの4曲目の、指板の上を走る指さばきを聴けば決してそんな事はないと云うのが判ります。

 まあとりあえずコレを聴いて彼の独特なギター感覚に浸ってください。

 よりノイジーで轟音なものをお求めの方は「シュレック」がオススメ。
gubb.jpg マッツ/モルガンのキーボーディスト、マッツ・エイベリーとビッグバンドとの共演アルバム。

 このアルバムを一通り聴き終えると恍惚感に浸れます。まるで映画を見終えた後にくる心地良さが尾を引くって言うか・・・・。

 1曲目の「Prelumea°」のキラキラした音色が夜空を連想させ(曲名の意味は知りませんが)、まるで夢の世界へ案内してくれる序章のようです。

 変拍子は多いもののマッツの持っている変態性よりも、良質なポップ性がここでは大きく表れています。ヴォーカル曲も2曲有り、(内1曲はビーチ・ボーイズの曲)ロマンティックと言うよりは、ファンタスティックといった感じ。ディズニー好きにはオススメ(かも)。

 自分はビッグバンドモノを数多く聴いているわけではありませんが、ジャンゴ・ベイツ同様、皆で楽しみながら1つの音空間を完成させると言った、演奏者1人、1人から音楽に対する愛情を感じさせるとても好きなフォーメーションです。そう言った意味では、もしこのアルバムを聴いて好きになった方は、ジャンゴ・ベイツのアルバムもオススメします。彼もマッツ/モルガンの様な痛快なハチャメチャさも感じられるし。
20070303140240.jpg 80年代中期から90年代初期まで活動していたイギリスの先鋭的な21人編成のビッグバンド。ジャンゴ・ベイツが当時在籍。3枚のアルバムと、1枚のライヴアルバムをリリースしました。

 ここでオススメするのは1stで、2nd以降の方が完成度は高くなりますが、このアルバムの方が勢いが感じられ、演奏の一つ一つが、ウチのバンドサウンドをとにかく聴いて欲しいと言っているかの様で、エネルギーが伝わってきます。決して気持ちだけが先行して、演奏がついて来ていないと言う事はなく、なるほど伝えたがっているだけの音はあるなぁと頷いてしまう程の説得力があります。

 ジャズ・パッセンジャーズ同様、皆でジャズを楽しんでいるかの様な雰囲気と、演奏者一人一人の個性が感じられ、尚かつうまくアンサンブルに溶け込んでいて個人の突出を感じさせないいい距離感があります。21人という大編成でその距離感を保てるのだからすばらしい。まあ、ビッグバンドというものはそういうものなのでしょうけれど。
又、伝統的なジャズの流れを継承しつつ、決してそれだけには留まらず、サルサやゴスペルなど色々な要素を取り入れたりもして、曲に幅を広げています。

 解散後は、ジャンゴ・ベイツのソロにより、ほぼ同じメンバーでビッグバンドを継承しますが、そちらはルース・チューブスよりも更に屈折しています。
vibes.jpg ザ・ジャズパッセンジャーズ(以下JP)のビル・ウェア(Vib)、ブラッド・ジョーンズ(b)、E.J.ロドリゲス(ds)から成るトリオの1st。2ndはヴィブラフォンをエレキギターの様に歪ませたり、EJのパーカッション・ソロを曲間に挟んだり色々面白い事を試みてはいますが、何からしくなく、3rdは、クラブ受けしそうな聴き易さが有ってそれはいいのだけれど、それだけでどこか物足りなさが感じてしまいます(ビルの上手いヴォーカルが聴けるのは意外でしたが)。

 1stが一番、下手な小細工などなく、この3人だから奏でられる音というものが素直に出ていて、カッコイイ。JPより人数が少ないからか、3人の個性がよりハッキリ聴こえてきます(例えばブラッドの弾いたり擦ったりする弦の音とか)。

 自分はJPのアルバムをオススメした所でメンバー全員がいい音を鳴らしているとコメントをしましたが、実を言うと、EJのドラムだけそこでは物足りなさを感じていたんです。なんかボトムが弱いと言うか。しかしこのトリオでの彼のドラムはJPのような物足りなさは全く感じられません。やはり人数が少なくなった分、個人の表現出来る割合が多くなったからなのでしょうか。ここでの彼のドラムにはラテン的な“熱さ”だけでなく、都会的な“クールさ”をも同時に感じ取る事が出来ます。特に“Reunion”での滑らかなブラシさばき。これがまたカッコイイ。

 プレイだけではありません。ビルの作る曲も良いです。自分はJPの3rdに収録されている彼の曲“Seven Guys With a Reason”が凄く好きで、その時から彼の作る曲には魅力を感じていました。ここでもヴィブラフォンの、又は各々の楽器の絡む時の“気持ち良い響かせ方”を踏まえた曲の作り方をしています。

 是非生演奏を体感したいトリオですが、ビル・ウェアー以外のメンバーが代わってしまい残念です。
jazzpsngrs.jpg 90年以降のザ・ラウンジ・リザーズは、“ジョン・ルーリーのバンド”と言うイメージが強くなり、彼と他のメンバーとの間に幾分距離を感じてしまう所がありました。

 ザ・ジャズ・パッセンジャーズは、80年代中期のザ・ラウンジ・リザーズに在籍していたロイ・ネイザンソン(sax)と、カーティス・フォウルクス(tb)が中心と成って結成されたセプテットですが、決して“ロイとカーティスのバンド”と言うイメージにはなっておらず、メンバーそれぞれの距離感が均等に感じ、それがとてもいいバランス感で音に反映しアンサンブルを奏でています。自分はこのメンバーのマーク・リーボゥのギターが大好きなのですが、このギターがここではとても「いいポジションで鳴ってるなあ」と思わせてくれるのです。勿論、他のプレイヤーもそうで、メンバーは皆とても個性的なプレイヤーなのですが、決してそれは出しゃばらない。しかし、存在感はしっかりあるいい演奏をしています。

 更に比較してしまいますが、90年以降のザ・ラウンジ・リザーズは、「大人の男」みたいなのを独自のスタイルで表現しているようなイメージを受けるのに対し、ザ・ジャズ・パッセンジャーズは、そのバンド名の通り、ジャズを楽しみながら旅をする仲間達の様です。

 ジャズ・パッセンジャーズのジャズは、ジャズと言ってもどこかクセのある、決して普通じゃないジャズです。同じ“普通じゃないジャズ”でジャンゴ・ベイツと比較してみると、あちらにはインテリジェンスなものを感じるのに対し、こちらにはどちらかと言うと庶民的なものを感じます。最近ではデボラ・ハリーなんかがヴォーカル参加し、割と普通のジャズになってしまっているので、この頃が1番面白かった感があります。

 ここでオススメするアルバムは3rdですが、残念ながらこれを最後にマーク・リーボゥは離脱してしまいました。と言う事でこのアルバムはマークの在籍していた時期の完成系と言った所でしょうか。
  THE LOUNGE LIZARDS/THE LOUNGE LIZARDS

lounge.jpg ジョン・ルーリー(sax)、イヴァン・ルーリー(pf、org)スティーヴ・ピッコロ(B)に加え、ペル・ユビュ、ゴールデン・パロミノス、FOEのアントン・フィアー(ds)、そしてDNA、アンビシャス・ラヴァーズのアート・リンゼイ(g)から成るニューウェイヴ・ジャズ・クインテット、ザ・ラウンジ・リザーズの1stアルバム。

 この後にメンバーはどんどん入れ代わり、オリジナル・メンバーはルーリー兄弟だけに成ってしまいます。マーク・リーボゥ(g)が在籍していた頃も凄く好きですが、どれか1枚だけといったらこのアルバムをオススメします。
 
 スタイルはパンキッシュなジャズと言った感じ。スティーヴ・ピッコロが土台をしっかり固め、その上で他のメンバーが一歩も譲らず格闘しているといった感じ。アントン・フィアーのドラムは演奏がタイトでしっかりしてるけど、格闘に参戦して負けておらず、アート・リンゼイはチューニングを狂わせたギターを歪ませガシャガシャかき鳴らし、イヴァン・ルーリーはピアノ、オルガンを不協和音で対抗し、ジョン・ルーリーのサックスはラリッて足元が落ち着かない。

 このテンションの高い記録は1981年当時のニューヨークのトンガッていたムーヴメントの1つのキセキ。

 プロデュースは、マイルス・デイヴィスでおなじみのテオ・マセロ。
cashin.jpg イギリスの先鋭的なビッグバンド、ルース・チューブスのメンバー、ジャンゴ・ベイツ(key,EbHorn他)、スティーヴ・アルゲリス(ds)そして、ジャンゴ、スティーヴのソロにも参加し、ジャンゴのビッグバンド、ディライトフル・プリスピスのメンバーでもあるスチュワート・ホール(g,b,vln他)の3人から成る、88年発表の2ndアルバムです。

 メリーゴーランドをバックに写っているジャケットからも伺える通り、3人はまるで遊園地内を楽器を演奏しながら歩き回る道化師の様です。遊園地に色々な乗り物やアトラクションがある様に、このアルバムにも、色々なタイプの“音楽”と言う乗り物やアトラクションがあります。それらは皆楽しいものばかりで、一日中そこにいても飽きさせません。

 とても遊び心の感じる、聴き応えのあるアルバムです。

 より手作り感のある前作「HUMAN CHAIN」もオススメ。
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