【アルバム】アヴァンギャルドっぽいの

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pq_yourforms.jpg西新宿のマンション内に、他ではあまり見かけないアーティストの作品が多い、ユニークな品揃えのレコード店があるんですけれど、そこでいいものを見付けてきたので、今回はそれを紹介します。

ドラム、ベース、ギターのトリオに電子音が絡み、淡々とした曲もあれば、勢いよく駆け抜けていく曲もあったり、生演奏を一度解体し、それら断片を再構築して出来た様な曲もあれば、縦横無尽に切り刻むギターの後を追って、残骸をかき集め、修復でもしているかの様な電子(エフェクト)音が鳴り響く曲などもあったり、曲によって様々な表情を見せます。

ウンベルティポの2ndは「フランク・ザッパ・ミーツ・スクエアプッシャー」と海外の一部で賞賛されたそうですが、もしこのアルバムをその様に喩えるとするならば、「マサカー・ミーツ・オウテカ」といった所でしょうか。

こういった、生演奏に電子音が絡むタイプでありがちなのは、「ちょっとまぶしてみました~」みたいな、たいして効果の感じられないものだったりするのですが、このアルバムは、バンドと電子音がまるで対話でもしているかの様な濃密なアプローチを感じさせられます。

その中でも特に興味深いのが「polylogical image」という曲で、これは店のPOPに書かれていたことなのですが、バンド演奏をPCでリアルタイムに「変調」するのではなく、バンド演奏の音をPCが感知し、あらかじめ用意された音源やプラグインをPC側で勝手に選んで、音を発声させているそうなのです。バンド演奏とPCの間でタイムラグが生じるからなのか、ミニマルよりな曲にはなっているのですが、でもこれがなかなか音楽としての完成度が高く、PC側の放つ音に思わずセンスの良さを感じさせられてしまうのです。もしかしたら、その様に響く様にあらかじめパターンがプログラミングされているのか、あるいは、同じ演奏を何テイクか録り、その中でPC側の反応が一番完成度の高いものを選んでいたりするのかもしれません。それでも、バンド側が激しい演奏で挑発するのに対し、PC側がフワッとした白玉で返してきたりもして、人間同士のとはちょっと違った、予測不可能なセッションが繰り広げられるので、面白いです。

今後、密かに注目のアーティストです。







[追記](2008.04.02)

この記事は、エイプリルフールのためのジョークです。

紹介したアーティスト及びアルバムは、実在しません。

どうかご了承くださいませ。


[更に追記] (2008.04.03)


パイクマンさんの「Antenna.blog」でも、聴いてみたくなるようなアルバムをユーモアセンスタップリに紹介しているので、ぜひ、チェックしてみてください。
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binkyboy.jpg新宿のディスクユニオンで500円位で売られていた位だから(しかも新品で)、そんなに評価の高くないアルバムなのかもしれませんが、自分はこのアルバム結構好きです。

ドクター・ナーヴのニック・ディドコフスキーによる97年リリースのギターソロアルバムです。

ドクター・ナーヴは自分は初期の変拍子ファンクの頃は好きでしたが、それ以降のは変拍子にクドさを感じてしまいダメでした。クドさは初期からあるのですが、まだ珍しさが有りました。しかしそれ以降はギターがメタル風な変化があるものの、そのワンパターンさからバンドに限界を感じました。

ドクター・ナーヴはその複雑な曲構成から高度なテクニックを要するバンドでした。なのでこのソロアルバムもニックによる高度なテクニックを披露したギターソロアルバムになるのかと思っていたのですがそうではありませんでした。これがまたユニークで面白いんです。ほとんど全ての音をエレクトリックギターで表現しているのですが、叩いたり、擦ったり、ギターを弦楽器としてだけでなく、打楽器にもしちゃってるんです。それが思いつき・タレ流しな演奏になるのではなく、1曲、1曲が割と短めにまとまっていて、多重録音された、練られた演奏になっているんです。自分はこのアルバムを聴くと、個人的にドラムフレーズが思いつく様なインスピレーションを湧かせられます。

基本はギターソロアルバムですが、フレッド・フリスのギターカルッテト仲間の客演も有ります。
ETRON FOU LELOUBLAN/les sillons de la terre

etron.jpg非退屈な6弦ベース奏者フェルディナン・リシャールと、落ち着きの無いビートを刻むドラマー、ギグー・シュヌヴィエが中心の、フランスのスカスカ、ギクシャクバンドの84年発表の通算4枚目のアルバムです。

初期の荒削りと勢いに任せた凄まじさから、ここでは混沌はやや薄れ、その代わり楽曲に構成味が増してきています。それでもエッジのキレは衰えず、ユーモラスは失わず、スカスカ感も相変わらずでこのバンドの持つ本質的なものは健在です。メンバーが皆クセモノなのにもかかわらず自己主張合戦にはなっておらず、アンサンブルを考えた無駄の無い演奏なので息苦しくありません。それでもやはりクセモノ達の集まりなのでスカスカでも物足りなさは感じさせません。

自分が特に好きなのが、3rd以降に加入したジョー・ティリオンという女性の弾くキーボードです。別に差別するわけではありませんが、女性キーボーディストって幼少の頃から受けてきた音楽教育をただそのまま無難に弾きこなすだけな人が多いと思うのですが、彼女の場合、音楽的な基礎はしっかりとしたものを感じさせつつも、チープな音で狂った様に弾き、時に放つ不協和音が曲のアクセントにもなり他のメンバーに負けず劣らずの存在感を感じさせます。アルバムのインナーにある写真を見る限りクールな印象を受けるそのギャップもまたステキです。何と言っても1曲目から凄まじい。悪夢です。ここで彼女はヴォーカルも執りシャウトを披露しています。

ロクス・ソルスではこのアルバムにノー・ニューヨーク一派や、マサカーラウンジ・リザーズ周辺の影響を見出していますが、自分はむしろ、パレ・シャンブルグの1stに共通性を見出してしまいます。パレ・シャン~の方は演奏は巧みではなく、ミニマル、ダブの影響もあり違う部分も色々とありますが(エトロン~にも多少ミニマルっぽいのはありますが)、素っ頓狂でアーティスティックな所に同じ空気を感じます。
RASCAL REPORTERS/HAPPY ACCIDENTS

hppyaccdnts.jpg先日新宿のディスクユニオンで、ずっと探していたラスカル・リポーターズの「ハッピー・アクシデンツ」の中古CDを見付けました。

自分はカンタベリー系はあまり得意ではありません。知人からハットフィールド・アンド・ザ・ノースを借りた事もありますが、そんなにのめり込めませんでした。スチュワート&ガスキンは割と好きですが、あれは本質的なのではなく、人脈的なカンタベリーですし。自分が好きなのはせいぜい純カンタベリーよりも、その影響を強く受けたマフィンズ位で、それも「185」の、比較的レコメン色が強いアルバムの方が好みです。

このラスカル・リポーターズもまた、カンタベリーの影響を強く受けている2人組なのですが、それでも自分がこのバンドに興味を持ったのは、メンバー2人がほぼ全ての楽器をコントロールし、それを“テープ・バイ・メール”という“やり取り”で完成させていく手法にありました。

実際聴いてみると、もろカンタベリーな音はしていますが、それに乗っかるメロディーや、キーボードの使う音色、弾き方などに親しみ易さやユーモアがあるので、自分にも十分引き込ませてくれました。楽曲の断片の様なものが緻密なまでに編み込まれていたり、マルチプレイヤーながら1つ1つの楽器を巧みに操る術もさすがなのですが、それらが変に小難しくなっていないのは、先述の様な部分でそれを上手く中和しているからです。

そもそも自分がこのアーティストのアルバムを知ったきっかけは、「プログレのパースペクティヴ」というムックからでした。

ラスカル・リポーターズの話ばかりで、本題に入る前に文章がまた長くなってしまったので、続きは明日にします。
richard.jpg このアーティストを知ったのはスクエアプッシャーとのコラボの12インチ盤をレコード店で見付けたのがきっかけでした。その12インチはまるでガラクタをその辺にブチまけたかの様な変わった音楽でしたが、その12インチと似たジャケットをCD屋で見付けたのがこのアルバムでした(99年リリース)。

 リチャード・トーマスの実体は詳しく知らないのですが、クレジットを見るとメンバーの中にリチャード(b)とトーマス(sax)がいるので、おそらくこの2人が中心のバンドなのかもしれません。メンバーにエレクトロニクス担当がいて、冒頭からエレクトロニカの様な電子音が鳴ったり曲中エディット的な展開もあったりはするのですが、ドラムもギターもリード楽器奏者もメンバーにいるので基本的にはバンドサウンドです。それもロックというよりはジャズ寄りな。

 で、この演奏がまたスカスカで、何とも言えない脱力感があるんです。ドラムなんかやる気なさそうでとりあえず叩いているって感じだし、トランペットはフラフラしてそのまま倒れてしまいそうだし、ギターも黙々とただ弾いてるって感じだし…
脱力感といったらドイツのお得意分野ですが、ドイツの脱力系特有の滑稽さはここではそれほど感じさせず、むしろ曲によってはどこか哀愁の様なものを漂わせています。この辺はお国柄の違いなのでしょうか(リチャード・トーマスはUK…だと思う)。ラウンジともスローコアとも違います。そこまでするかのただひたすら脱力って感じです。電子音はモワモワしていて、エレクトロニカもここでは「だりぃ~」って言っています(笑)。この脱力感はほんとクセになります。

 リチャード・トーマスの他のアルバムを何年か前にお茶の水の某レンタル屋で借りて聴いてみた事があるのですが、それはイマイチでした。今手元にないし忘れてしまったのでどうイマイチだったのかは説明出来ませんが。sqrich.jpg

こちらはスクエアプッシャーとのコラボ12インチ盤「I am carnal, and I know that You approve」のジャケットです。→
heartbeat.jpg スロッビング・グリッスル(以下TG)のクリス・カーターとコージー・ファニートゥティによるデュオの1981年にリリースされた1stです。

 ジェネシスがいない分TGの様な毒がなくなりクリスのシンセサウンドが前面に押し出されたものになっています。ただ毒がなくなったと言っても、アナログシンセやTR-808(ヤオヤ)等、メインで鳴っている音はチープなものばかりなのにそこに緊張感が漂います。この緊張感が例えばテルミンを使った昔のホラーみたいなインチキくささにはなっていません。テープのSEや歪んだギター、ディレイ等を巧みに取り入れているのも要因の様です。そこはTGで培ってきたこの2人の成す技といった所でしょうか。そういう所でTGでの彼らの役割の大きさをも感じさせます。この様なシンセの使い方にはドイツのピロレーターの1stにも通ずるもがあります。

 緊張感が漂うものの、アナログシンセのおいしい使い方を心得た素直でシンプルな音なので気持ちのいいツボをダイレクトに刺激します。ジェネシスという存在感の大きさでクリスの技量がTGでは十分に発揮しきれていなかったのではないかとさえ思えてきます(それが良かったのかどうかは別として)。なのでTG好きがマニアックにこれを聴くと言うよりはむしろTGには取っ付きにくかった人が聴くのに向いているのではないでしょうか。実は自分がそれだったりして。trance.jpg

 よりアンビエント性の含んだ次作「TRANCE」もかなりオススメです。
  GASTOR DEL SOL/CAMOUFLEUR

gastr.jpg 元バストロのデイヴィッド・グラッブスと現ソニック・ユースのジム・オルークのデュオグループの、98年リリースのラストアルバムです。

 前作「UPGRADE&AFTERLIFE」では(自分には)難解でしたが、こちらは歌モノも多く表面的には割と聞き易いポップなサウンドになっています。アコースティックギターの響きの美しさが同じ時期にリリースされた事もあってかジム・オルークの「バッド・タイミング」と似た雰囲気を感じさせます。彼らの歌う歌やシンプルに弾くピアノもさりげなくていい雰囲気を出しています。アコースティックな音だけではなく電子音も取り入れているのですが、これもまたやさしく鳴り響きます。それら音のパーツがうまい具合に響きに作用してひとつの音楽が構築されているといった感じでしょうか。
とてもバストロの様なうるさいバンドを演っていた人が作る音楽とは思えない美しさを感じるのですが、“響き”という意味ではその頃から繋がるものはあったとも言えます。

 1曲だけ中国歌劇団みたいな曲が収録されているのがなんか不思議なんですけれど。

 これがリリースされた当時、彼らのホームグラウンドでもあるシカゴではTORTOISE周辺の一連のアーティスト達がお互いに影響し合って“響き”に重きを置いた様々な良作を次々に生み出していました。同じ年にTORTOISEは「TNT」という素晴らしいアルバムもリリースしています。

 ドラムスのジョン・マッケンタイアーやコルネットのロバート・マズレク等、ゲストミュージシャンが多数参加しているのですが、やはり特筆すべきはオヴァルのマーカス・ポップの参加でしょう。それまで彼は様々なアーティストの作品をリミックスという“解体作業”で参加する事が多く、共演モノでもミクロストリアの様な実験的な方向性が強いものだったのですが、ここでは彼の奏でるデジタルノイズの微粒子がガスター・デル・ソルのポップソングに最良のエッセンスとして曲を引き立たせているのに成功しています。マーカスのポップに対するセンスの良さがここで垣間見れるわけなのですが、元々オヴァルも1stではポップを演っていましたからね。それになんて言ったて名前がマーカス“ポップ”ですから(笑)

 そう言えば話は逸れますが、何年か前に東京ドイツ文化センターへマーカス・ポップのレクチャーを聴きに行った事がありましたが、結局よく解らなかったけれどなかなかためになる公演でした。丁度同じ頃、青山のスパイラルにオヴァルプロセスが実体験出来るコーナーがあって自分もいじってきたのですが、反応がどう返ってくるのか判らない所に面白さを感じました。でもそう思えるのはファーストタッチだけだったのかもしれませんが。
  MICHAEL NYMAN/MICHAEL NYMAN

nyman.jpg マイケル・ナイマンと言えば、「ピアノ・レッスン」や、ピーター・グリーナウェイ監督の作品等、映画音楽を手掛ける方面で有名ですが、本来は現代音楽の人で、81年にリリースされたこのアルバムも、現代音楽の発想から作られています。

 ある雑誌でこのアルバムの事を「ペンギン・カフェ・オーケストラに似ている」と書かれていまして、ペンギン・カフェ・オーケストラが好きな自分はそれでこれを聴くきっかけになりました。確かに表面は同じなごみ系の様な心地良さを感じさせます。例えばA-5の「バード・リスト・ソング」は、このアルバムの共同プロデューサーでもあるデヴィッド・カニンガムのフライング・リザーズの2ndに収録されている「ハンズ・トゥー・テイク」と同じ曲なのですが、上に乗るヴォーカルの違いもあってかナイマンの方がどこかほのぼのしたものを感じさせます。またA-4の「ワルツ」はエヴァン・パーカーと、ペーター・ブレッツマンの2人のフリーミュージシャンの管がオケに絡むものなのですが、それが決してシリアスにはならず、やはりどこかほのぼのとしたものを感じさせるのです。ただ前述の様にマイケル・ナイマンは現代音楽(主にミニマル)がベースにあるため、構造的な根拠がここにも込められてはいます。B面は基本になる2つのフレーズの繰り返しから楽器や演奏が徐々に変化するもので、1曲まるまるの収録です。こちらはほのぼのさはあまり感じさせません。

 現代音楽は発想、概念やプロセスなどに重きを置くものですが、自分にしてみれば、最終的にその音楽が聴いて面白いか、気持ちいいかで好き嫌いが決まってしまいます。このアルバムはその意味でも難解さを感じさせなく聴き易いので、マイケル・ナイマンの入門編としてもいいのかもしれません。

 と言いながらも実は自分はマイケル・ナイマンはコレしか持っていません。マイケル・ナイマンの他の作品でオススメがあったら、逆にどなたか教えていただけないでしょうか?

 あとコレってCD化されていたら欲しいのですが存在するのでしょうか?もしくはこのアルバムの曲が収録されているCDはあるのでしょうか?ご存知の方教えてください。
  JIM O'ROURKE/Bad Timing

jimorourke.jpg 元ガスター・デル・ソルで、今やソニック・ユースのメンバーにもなったジム・オルークの、実験色の強いものが多いソロアルバムの中でも、比較的聴き易い(心地よい)内の一つです。

 彼の様な音楽の視野が広いアーティストが聴き易いものを作ったとしても決してつまらないものにはなりません。

 アコースティックギターの、オープン・チューニングによる、アルペジオが中心の、響きの美しい、ミニマルなアルバム。と、この程度の予備知識でこのアルバムを聴き始めるには十分だと思います。

と言うのも、この人の音楽のルーツは奥深く、ヘタにいろんな情報を取り入れようとすると、そのうちに興味が失せてしまう事にもなりかねないからです。

例えば、あるリスナーにとって興味のない分野でこのアルバムを解釈されたとします。そこでそのリスナーは、その分野を知らないとこのアルバムの良さが分からないのであれば、自分は聴いても面白くないだろうと聴くのをそこで諦めてしまうかもしれません。それだったら情報収集は一度聴いてみた後の方がいいと思います。逆にその方が興味のない分野に持っていた今までのイメージが払拭され、改めて興味を持つ事になるかもしれません。これはそれ位の魅力を持ったアルバムです。
  THIS HEAT/DECIET

thisheat.jpg チャールズ・ヘイワード(ds,vo,tape他)、チャールズ・バレン(g,vo,tape他)と云う、楽器演奏に長けている2人に、ガレス・ウィリアムズ(b,syn,vo,tape他)と云う、ミュージシャン経験のないアート出身の1人が加わった3人組、ディス・ヒートの81年発表の2ndです。

 各々の即興演奏を1度標本にし、それを再構築し、フィールドレコーディングやラジオのノイズ等を素材に加え、時間軸の曲がった様な独特なテープ編集、ダブ的手法を施し、緊張と安らぎが同居した不思議な音空間を創りあげるのが特徴的です。

 ディス・ヒートと云ったら、衝撃的なデビューを飾る1stをまず取り上げるべきかもしれません。勿論、そちらも凄くオススメなのですが、2ndをここでオススメする理由は、普通、この様なテンションの高いバンドのヴォーカルと言うのは、激しく叫んだり、怒鳴ったりするものが多いのですが、(ここでも一部そう云う所はありますが)彼らの歌は基本的にとてもメロディアスで、牧歌的なものすら感じさせられる所があり、それが1stよりも歌の比率が高い2ndに顕著に表れていて、ディス・ヒートは歌を大事にする、いわゆる“ウタモノ”のバンドでもあるのだという事が、このバンドの奥の深さを改めて痛感させられるからです。

 81年当時の雑誌のインタビューでメンバーは「歌詞は正確に訳して欲しい」と語っていましたが、そういった発言からも、決して歌を単に装飾の1部として捉えてはいないと云う事が伺えます。

 それにしても2003年に1stがリマスターされるとアナウンスされて、未だにリリースされていないのですが、こんな重要な作品はもっと多くの人々に聴いてもらうためにも早くリリースされるべきです。2ndのリマスター盤の音質の違いを聴くと尚更そう思ってしまいます。
 
 残念ながら、ガレス・ウィリアムズは2001年に他界してしまいました。

>>This Heatの1st、今度こそ再発?
  AMBITIOUS LOVERS/GREED

ambitious.jpg ここ最近は以前に書き貯めていたオススメアルバムを載せていますが、事前に書いてあった文章に一度目を通して修正を加えたり、まるっきり書き直したりして毎回アップしていて、その作業を、その日にオススメするアルバムを再生機にかけて聴きながらやっているんですね。多分みなさんもご自身のブログでオススメのアルバムを載せる時そうしているんだと思います。で、お目当てのCDを棚から探すわけですよ。その時つい隣にある久しぶりに聴いてないCDにも手を伸ばして、聴いてみちゃったりもするんです。

 今回オススメするアルバムはまさにその隣にあって久しぶりに聴いてみたCDで、聴いているうちについ書きたくなってしまったものです。

 このブログで今までオススメしたアルバムは、自分にとって好きな曲がそのアルバムの中に8割以上あるものしか載せていませんでしたが、今回はアルバム中、2曲しか好きな曲がありません。それでもおススメしたい位好きなアルバムです。

 他の曲も決して悪くなく、嫌いじゃないのですが、このアルバムの冒頭を飾る「COPY ME」と、次に続く「PRIVACY」の2曲のインパクトがあまりにも強烈なので、他の曲がかすんできちゃうんです。

 まずこのグループを紹介しますと、ニューヨークを拠点にした、アート・リンゼイ(ジャケット左)とピーター・シェラー(右)の2人からなるユニットで、そこに多才なゲストが多数参加しています。

 アート・リンゼイは、まともに弾けない(弾かない)ギタリストの中でこれ程誰もが認めるギタリストはいないのではないかと言う位説得力のあるアーティストだと思うのですが、それまでの彼絡みの作品はその表現スタイルから比較的アヴァンギャルドなものがほとんどでした。キーボーディストのピーター・シェラーをパートナーにする事により、それまでのアートには見られなかった、よりポップな方向にここでは仕上がっています。

 で、その強烈な2曲の話をしますが、まずノリがファンクなんですね。そして音数が多くてゴチャゴチャしていてトッ散らかってはいるのですが、それがウマいタイミングで現れては消え、まるで目の前をいろんなモノが通り過ぎていくかの様な感覚で、色鮮やかで気持ちいいんです。そしてポップ。

 こう書くと思い出すのが、スクリッッティ・ポリッティの「キューピッド&サイケ85」なんですけれど、あれも同じ白人の作り出すファンクで、緻密な音の構築で凄いアルバムでした。その音は当時斬新でよく他のアーティスト達にマネされていましたね。ジョージ・マイケルの「Monkey」なんかもろスクリッティ~の「ヒプノタイズ」でしたからね。

 ただ、同じ音数の多さと言っても、スクリッティ~の場合はほとんどがシンセ音なのに対し、アンビシャス~の方はシンセ音やサンプラーもありますけど、ジョン・ゾーンやナナ・ヴァスコンセロス等の“強者”ミュージシャン達も音素材になっていますので、迫力がまたひと味違います。そこにアートのノイジーなギターが、彩りにアクセントを加えます。しつこいようですが、それでポップなんです。

 あと違いを感じるのが、両方のファンクに対する姿勢ですね。スクリッティ~には思い入れを感じますが、アンビシャス~の方はひとつのアイディアって感じですから。

 そもそも上に乗っかる、スクリッティ~のグリーン・ガートサイドと、アンビシャス~のアートのヴォーカルがまるで違うものなので、比較対象にするものではないのかもしれません。

 アートのヴォーカルって、決して上手くないんですけれど、でもコレがあるのとないのとでは曲のクオリティが半減してしまう位、存在感のあるいいヴォーカルなんです。それは味があるともニュアンスがちょっと違うんです。なんかそういう言い方するとブルース・シンガーみたいだし。

 このアルバムには2曲しか好きな曲がないと言いましたが、強いて上げるならば、「Love Overlap」もノリが良くて好きです。坂本龍一の「You Do Me」はこの曲の影響を大きく受けていると思います。でもその前に「Love Overlap」がテリー・ルイス&ジミー・ジャムが プロデュースした頃のジャネット・ジャクソンみたいですけれど。

 このアルバムを今回ファンクと云う観点で話をしましたが、ボサノヴァもやっていたりするので、他にも色々と聴き所はあると思います。ですが、とにかくこの2曲のためだけでもみなさんに聴いてもらいたいです。打ち込み、曲のアレンジ、ミキシングに興味のある人にも聴いてもらいたいですね。scritti.jpg

 あ、あとスクリッッティ・ポリッティの「キューピッド&サイケ85」もかなり完成された作品なのでオススメです。「キューピッド~」は、ファンタスティック・プラスティック・マシーン好きなら割と好きかも。
  THE FLYING LIZARDS/THE FLYING LIZARDS

flyinglzd.jpg 北アイルランド出身のデヴィッド・カニンガムが、数人のゲストを呼んでレコーディングした「ザ・フライング・リザーズ」の80年にリリースされた1stです。

 美術学校在学時、ダダ・アートに感銘を受けたというデヴィッドは、自らの音楽作品にその要素(失敗や脱線)を色濃く反映させています。

 段ボールをドラムにしたり、その辺にあったものをとりあえず鳴らしてみたり、ろくに弾けもしないギターやピアノを弾き、歌の上手くもない女性に抑揚のない歌を歌わせ、それらの音素材を手頃な録音機でとてもクリアーとは言えない音に収める。こうした「曲作りのプロセスに違った視点を置く(試みをする)」と言ったタイプの音楽はこれまで現代音楽などに多く見られました。ただそれらは聴いていて難解なものが多いのですが、フライング・リザーズがそれらと違うのは、ポップな音楽を目指して作っているため、確かに一見素人の下手な試し事の様に聞こえますが、逆にそれがとても聞き触りの良い馴染み易いサウンドになっています。

 ただいくら段ボールをドラムにしているからと言っても、アルバム全体でそれをやられると聴く側は多分飽きてくると思うのですが、ドラムやベース等に、しっかり演奏の出来るアーティストを招いて録音されているものもあって、それらをダブな音処理に施していたり、またこの1stはそれまでのシングル曲に、新録音を加えた寄せ集め的なアルバムになっているので、バラエティに富んでいて飽きさせません。

 しかし当時ヴァージン・レコードは、よくこんな世間的に見て「商品としての完成度の低い」と思わせる様なアルバム(本当はそんな事ないですよ)をリリースさせたなぁって思ったんですけれど、それなりにヒットしているんですよね。目の付けどころが違うというか、感心させられます。これが(当時の)ヴァージンからリリースされたって云う所も大きいのではないのでしょうか。そう言えばヴァージン・レコードの第1号アルバムは、多重録音で手作り感のある作品、マイク・オールドフィールドの「チューブラー・ベルズ」(映画「エクソシスト」で使われているのでおなじみ)でしたよね。

 ロバート・フリップ、マイケル・ナイマン等がゲストの2ndもオススメ。

 レコード針がスタートラインに位置した途端、いきなりのフライング。(←コレちょっと言ってみたかっただけ)
  AKSAK MABOUL/ONZE DANSES POUR COMBATTRE LA MIGRAINE.

aksakmaboul.jpg 最重要盤!

 ベルギー在住のマルク・オランデル(key,他)とヴィンセント・ケニス(g,b,他)が中心と成るアクサク・マブールの77年制作の1st。ジャズ、室内音楽、民族音楽、ミニマル、童謡等、あらゆる音楽の要素が盛り込まれる中、全体的に一貫してこのアルバムに受ける印象は“心地よさ”です。

 それは色んな所からジャンルをただ借用してきただけのバラエティアルバムというわけではなく、かと言って実験色の濃い、重々しいアルバムになっているというわけでもなく、それらをアクサク・マブールの中で1度消化させ、目の付け所の盲点を突いた様な面白いサウンドになっています。

 後にクラムド・ディスクを建ち上げ、“ワールド・ミュージック”と言う一つのジャンルの確立に貢献した人物の一人でもあるマルクの雑食性がここで既に伺えます。しかしここではワールド・ミュージックと言うよりは今で言う“ラウンジ”に近い趣があります。

 この後、フレッド・フリスやクリス・カトラー等ゲストが多数参加し、よりバンド色が強くなりこれとは趣が異なる2ndもとてもオススメです。

 尚、アルバムタイトルが「11の~」なのにCD化により曲数が17曲に増えていますが、これは単に曲を分割しただけで中身はアナログ盤と一緒です。
  FRED FRITH/GRAVITY

frdfrthgrvty.jpg ヘンリー・カウや、ギター・ソロ・インプロヴィゼイション等、それまで難解な作品がとりわけ多かったフレッド・フリス(g,vln他)が、 79年頃から 活動をニューヨークに移し活発に幅を広げていった時期にレジデンツのラルフ・レーベルからリリースした通称“ラルフ3部作”の1枚目です(80年発表)。

 彼の作品の中ではとりわけ聴き易いサウンドに仕上がっていますので、入門編とも言えるアルバムです。
3曲目や5曲目なんかは彼の代表曲で、彼に焦点を当てたドキュメントフィルム「ステップ・アクロス・ザ・ボーダー」でも彼が口ずさんでいます。(←こちらのサントラも彼の入門編としてオススメ)

 A面ではスウェーデンのサムラ・マンマス・マンナ、B面ではアメリカのザ・マフィンズがゲスト参加して、2部構成的な作りが特徴です。
A面からは北欧等の民族音楽テイストも漂います。
B面に収録のカヴァー曲「ダンシング・イン・ザ・ストリート」は、DEVOの「E-Z Listening Disc」、もしくはHUMAN CHAINの「MY GIRL」風なヘンテコ・アレンジに成っています。フリスの、ユーモアとポップのセンスが光った作品です。

 アナログのレコード盤にはA面、B面と裏表があるため、途中で一度ひっくり返す手間がありますが、それが作品の世界に浸っている途中で一度現実に引き戻されてしまう事にもなってしまいます。しかし言い換えればA面を聴き終えた後、前半の余韻に一度浸りながら裏に返し、改めてB面の世界に入り込めるというブレイク的な要素もあるので一概にこの記録媒体の良し悪しは判断出来ないと思います。ここでオススメするアルバムは、その後者を上手く生かした作品であるため、CDではなく、レコード盤で聴く事ををオススメしたいです。

>>MASSACRE/KILLING TIME

>>MATERIAL/MEMORY SERVES
  MATERIAL/MEMORY SERVES

material1.jpg ニューヨークを拠点に活動する名プロデューサー、ビル・ラズウェル(b)や、今やレッチリ、KORN、マリリン・マンソン等のプロデュースとしても知られるマイケル・ベインホーン(key,vo)、スクリッティ・ポリッティやルー・リード等でドラムを勤めるフレッド・マー(ds)を中心に多才なゲストが入り交じるバンド・プロジェクト、マテリアルの81年にリリースされた通算4枚目のアルバムです。

 アルバム毎にゲストが大きく入れ代わる事で内容も大幅に変るので、アルバムによって当たり、外れが大きく、自分が聴いた事の有るアルバムの中ではこれが一番オススメです。

material2.jpg ゲストはフレッド・フリス(g)、ソニー・シャーロック(g)、ビ リー・バン(vln)、ジョージ・ルイス(tb)他であり、全体的にドクター・ナーヴの1st~2ndの様な変態ファンクを彷佛させる所が有ります。

 フレッド・フリス参加の4曲目は時期的に重なっていたせいもあるのかマサカーの様なロックの可能性を追求した曲調も見受けられます。ビル・ラズウェルのベース・プレイは、マサカーで見せていたグルーヴ感にファンク色が強まり、こう言うベースも弾けるのかとプロデューサーだけでなく、プレイヤーとしても改めて魅力を感じる事が出来ます。
material3.jpg
 1st、2nd辺りは、まだ模索段階という印象があってか、マイケル・ベインホーンのキーボード(シンセ音)が今一つ効果的じゃ無くぎこちなく聞こえました。しかしこのアルバムでは下手にシンセ音を加え過ぎなくバンドにうまく溶け込んでいます。
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